『フレームアームズ・ガール』1話 美少女の腰に電源を接続するとエロい声が出る……これが2017年か

──いきなり動きだした女の子型ロボットと女子高生による『プラモ狂四郎』!? プラモも作ればオモチャも買うミリオタおじさんのしげるによる『フレームアームズ・ガール』全話レビュー。モデラー目線からのツッコミも入れていく所存です。

『フレームアームズ・ガール』1話 美少女の腰に電源を接続するとエロい声が出る……これが2017年かの画像1TVアニメ『フレームアームズ・ガール』公式サイトより

 

『フレームアームズ・ガール』は、原作が壽屋、デザイナー(FAガール ベースデザイン)が兵器の擬人化イラストや『ストライクウィッチーズ』シリーズや『ガールズ&パンツァー』で大人気の島田フミカネと、『交響詩篇エウレカセブン』や『機動戦士ガンダムOO』で知られる柳瀬敬之。監督はベテランの川口敬一郎と、安定感のあるスタッフによる注目作。

 普通の女子高校生、源内あお(げんない・あお/演:日笠陽子)の元に突然届けられた「フレームアームズ・ガール」(以下「FAガール」)と呼ばれる完全自律型の小型ロボット「轟雷」(ごうらい/演:佳穂成美)、そしてその他のFAガールたちが、きゃっきゃうふふな日常を送ったりバトルしたりしながら成長していくというお話だ。

■そもそも『フレームアームズ・ガール』のアニメってどういうこと?


「FAガール」がTVアニメ作品になるのがいかにイレギュラーな事態か、どれだけのオタクが認識していることだろう。これだけ完全に「プラモデルありき」で突き進んでいるコンテンツは昨今珍しい。

 原作としてクレジットされている壽屋は、元は1953年に東京都立川市に設立された玩具店。同社が小売店からメーカーへと変化したのは89年ごろである。以降、90年代の『エヴァンゲリオン』ブームとアクションフィギュアブームによる「塗装済み完成品のフィギュア」の認知度向上も追い風に、多数の製品を発売しつつ企業規模を拡大。
 現在ではフィギュア、プラモデルともに豊富なラインナップを誇る総合ホビーメーカーとなっている。この壽屋が発売したオリジナルロボットプラモデルシリーズが「フレームアームズ」だ。

 このフレームアームズは名前の通り共通のフレーム構造に外装を取り付けることで様々なロボットを作ることができるキットで、現在までに多数が発売されている。今回アニメ化されたFAガールは、元々このフレームアームズを擬人化したもの。言ってしまえば古くはMS少女やグフレディあたりに遡る、由緒正しくオタクっぽい悪ノリだ。そして「FAガール」までもが、壽屋によってプラモデル化されたのである。

 ちょっと話は脇道に逸れるが、近年模型業界でモチーフとして注目されているのが「二次元の女の子」だ。ここ10年ほどで1/12スケールの女の子アクションフィギュアが市場に定着した点、ソフト・ハード両面で様々な技術的進歩があった点などから、模型メーカーが二次元の女の子というネタを高品質なキットにすることが可能になった(ちなみにそれ以前にも女の子のプラモデルは存在していたのだが、これについては廣田恵介さんの『我々は如何にして美少女のパンツをプラモの金型に彫りこんできたか』を読んでほしい)。

『フレームアームズ・ガール』1話 美少女の腰に電源を接続するとエロい声が出る……これが2017年かの画像2

 FAガールはこのムーブメントに乗り「組み立てて遊ぶ女の子のプラモデル」としてとんでもない成功を収めた。端的に言って売れまくったのである。そして、キットが売れたあとにTVアニメ化されるという希有なルートを辿ることになった。

 キャラクター商品、それもプラモデルやオモチャのような比較的大規模な工程を必要とするプロダクトが映像作品とタイアップする場合、普通は最初の企画段階から映像と製品のすり合わせを図る。もしくは、コンテンツ自体に人気があって、それに後押しされて立体化が進むというパターンもあり得るだろう。しかしFAガールは違う。まず先にプラモデルがあり、その後にアニメ作品が制作された。この順序を意識していれば、どうして第1話がこういう内容になったのかわかるはずだ。

■Aパート、プラモデルの教則ビデオと化す


 というわけで前置きが長くなったが、第1話の前半戦、サブタイトルは「轟雷」である。舞台はいきなり東京の立川市(そりゃ立川には壽屋本社があるからな!)。高校入学直後の普通の少女、源内あおのところにいきなり自律行動する美少女ロボット”轟雷”が届けられるところからスタート。唐突に起動した轟雷は、一緒に届いたランナー(プラモの部品がくっついてる枠みたいなやつ)から装甲パーツを組み立ててくれと要求。あおはめんどくさがりつつも言われるがままにニッパーを用意し、部品を切り取っては組み立てる。

『フレームアームズ・ガール』1話 美少女の腰に電源を接続するとエロい声が出る……これが2017年かの画像3 「コトブキヤ フレームアームズ・ガール 轟雷」ノンスケール プラモデル

 この組み立て工程の描写、完全にプラモデルの組み立て方の教則ビデオである。部品はランナーからニッパーで切り、説明書をよく読んで工程を理解し、パーツをなくさないよう気をつける……。しかもコトブキニッパー(当然壽屋製品です)の切れ味がいかに素晴らしいかの解説入り。あるよね……模型組んでると……部品が飛ぶ事故……。とりあえずこの映像の中で言われていることに注意すれば大体FAガールのキットが完成できるようになっているのには感心する。「プラモありき」のアニメっぽいぞ!

 それだけではなく、主人公のあおが一人暮らしをしている理由、落ち着いてるのになんでも質問攻めにする轟雷の子どもっぽさ(かわいい)、FAガールは持ち主との会話や経験を通じて感情を学ぶこと、腰に電源を接続されるとエロい声が出ることなどがさらっと説明される。全体に色々唐突じゃね? と思えども、とりあえず「へ〜」と言いながら見てしまった。

■これは美少女だらけのプラモ狂四郎か!?


 続くBパート「スティレットとバーゼラルド」ではさらなるFAガールたちが登場。飛行能力を持ち刀とガトリングガンで戦うスティレット、そして箱の中で熟睡していたバーゼラルドという2体が新たにあおの元に届けられるのだ。

 彼女らの話によれば、あおのところに届いた轟雷は世界中に配送されたもののうちの一体。そして、轟雷を起動できたのはあおだけなのだ。起動した以上はバトルによってデータを収集する必要がある轟雷。そして戦う気満々のスティレット。というわけで、仮想空間上で2体のFAガールによるバトルが始まる!

 高速で飛行し多彩な攻撃手段で攻めるスティレットに対し、あおの組み立て方が雑だったおかげで砲撃を当てられない轟雷。しかし轟雷は助走をつけてストラクチャーから飛び上がることでスティレットに組み付き、至近距離からの砲撃で辛勝する。バトルの後、データを提供すれば謝礼が出ると聞いてFAガールのデータ収集に協力することを決めるあお。かくして1人と3体の共同生活は始まったのだった……。

 仮想空間上で自分の作ったプラモデル同士を戦わせる……ってこれ、男児向けホビーマンガで見たやつだ! しかも組み立て方が雑だったせいで苦戦するという製作技術の差で強弱がつく感じは、「鉛板で装甲されてるから強い」「急いで作ったから戦ってる最中に腕が外れる」みたいな理屈が頻発した『プラモ狂四郎」っぽさ全開。しかし戦っているのはパーフェクトガンダムではなく美少女型ロボット……。なるほどこれが2017年か……!

 とりあえず第1話としてはまずまずの情報量。FAガールたちもかわいいし、ホビー漫画的プラモあるあるも楽しいのでモデラーのおっさんとしては安心して見られそう。あと主人公のあおちゃんの脚が妙にエロく描いてあって眼福でありました。しかし、プラモデルありきの企画がこんな形で結実するなんて、すごい時代になったもんだなあ……。

(文/しげる

『フレームアームズ・ガール』1話 美少女の腰に電源を接続するとエロい声が出る……これが2017年かのページです。おたぽるは、アニメ作品レビューの最新ニュースをファンにいち早くお届けします。オタクに“なるほど”面白いおたぽる!

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