アメコミ「実写化不可能」奇譚vol.6

スーパーマンがスターリンの後継者に!? トランプ大統領も真っ青な“アメコミ独裁者”3選

 トランプ政権の誕生で揺れたアメリカ。不動産会社トランプ・オーガナイゼーションの会長兼社長、カジノホテル運営者などの顔を持ちながら、第45代米国大統領に就任したドナルド・トランプ。現在は、乱発する大統領令で政治に独裁色が強まりつつある。

 アメコミファンは、トランプ政権がアメコミの“ある人物”に似ていると頭に思い浮かべるはずだ。その人物とはスーパーマンの世界で最も重要な敵役である、レックス・ルーサー。「はげ頭の天才科学者」であり「アメリカ巨大企業のオーナー」。そして……「大統領」である人物。DCコミックスの世界では、彼が米国大統領となり、その権力を利用してスーパーマンをはじめとするヒーローたちと対決する様を描く作品が多くある。

 トランプ大統領の就任以降、「実際のアメリカが、ルーサー政権のアメリカに重なる」「トランプよりルーサーの方がマシ」などという意見が、ネットでみられるなど、トランプとルーサーは近いキャラクターとして認識されている。ルーサーは、すでに実写化されており、何人もの俳優が演じている。ということで、今回は別の独裁者たちをご紹介。

 紹介する独裁者たちは……「“ロシアの独裁者”になったスーパーマン」「誰からも嫌われる“反ミュータント国家の独裁者”キャメロン・ホッジ」「“惑星の独裁者”ダークサイド」の3人だ。

 まず最初の独裁者は「スーパーマン」。世界的にも有名なヒーローであるスーパーマンが、なぜ独裁者なのか? 実は正統なシリーズではなく、もしもスーパーマンがソ連に降りていたら、という設定の『スーパーマン:レッドサン』に出てくるスーパーマンを指す。

 幼い頃、ウクライナの田舎に現れた宇宙人として、指導者スターリンの後を継ぎ、ソ連の独裁者となるというストーリー。スターリン亡き後、党首就任を求められ就任したスーパーマンは、国民から認められた独裁者として活躍する。

 同作品で敵として描かれるのが、アメリカの天才科学者レックス・ルーサー。レックスの攻撃に加え、飢餓が広がる国内事情に直面したスーパーマンが「同志諸君、この国を救ってみせる!」と決意し、世界平和の実現と、完璧なユートピアの構築のために命を懸けるのだ。パラレル的な作品『スーパーマン:レッドサン』は傑作との呼び声高く、ぜひ読んでほしい。

 2人目の独裁者は「キャメロン・ホッジ」。差別と迫害を扱ったストーリーが多いエックスメンシリーズの中でも、その権化たる存在として知られているのがキャメロン・ホッジだ。反ミュータント主義の狂信者である彼は、アメコミファンからも忌み嫌われるキャラクターとして有名で、『X-MEN MUTANT GENESIS』のコミックスに登場し、自らの反ミュータント主義を巧みに隠してミュータントたちを騙し、暗躍を繰り広げている。

 正体を明かしたあとは、反ミュータントの武装集団ライトを創設し、エックスメンたちの抹殺に生涯を捧げ、一度は倒されかけるも復活。その後、「反ミュータント国家ジェノーシャ」を築き、独裁者として君臨。頭部以外は全て機械の蜘蛛のような体となり、さらに不死を手に入れ、最狂の敵となってミュータントたちに立ちはだかる。

 ミュータントを敵視するあまりに、人間からミュータント以上の怪物に成り果てたキャメロン・ホッジは皮肉としか言えないキャラクターでもあり、独裁者になりうるだけの計算高さを持った人物だ。このキャラクターは、エックスメン史でも巨大な敵の部類であるが、現在の映画シリーズでは触れられることがあまりない。

 そして、3人目は「ダークサイド」。1970年に登場するDCコミックスの悪のキャラクターで、惑星アポコリプスの王として生まれ、神々から力を奪い取り、神にも近いパワーを持っているという設定だ。その強さはすさまじく、初登場時、これ以上強力で凶悪な悪役はいなかったというほど。

 独裁者としても、とんでもない規模で、宇宙のすべての生物を奴隷として支配しており、ヒーローチーム「ジャスティス・リーグ」全メンバーと単身で戦えるほどの巨大な敵。その「ジャスティス・リーグ」の映画2作目で実写化されるとのウワサもあり、注目されている。

 3人の独裁者を紹介したが、様々なタイプがいるのが面白いところ。アメコミは「正義と悪の対立」というわかりやすい分け方のみならず、その時々の立場、思想などによってキャラクターの目的も変わるというのが魅力のひとつだ。市民を助けるヒーローだけでなく、別のキャラクターに注目すると新たなアメコミの面白さが見えるかもしれない。
(文=大野なおと)

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