ついに“黒おっけいさん”に豹変だ! アニオリ部分も意外とよかった『CHAOS;CHILD』第9話レビュー

 来栖乃々の伏線回収の必要性は、ラストで突然現れて「誰?」とならないようにするためぐらいかと思っていたが、南沢泉里の姿で改めてこのシーンを見ると、単純な必要性以外にもいい効果をもたらしてくれているのだと実感する。

 そんな南沢泉里が、尾上世莉架の思考盗撮の能力に気づき、「あなたなのね! 南沢千里の存在を利用してたのは!」と問いつめると、「お前に言われたくない、来栖乃々」と低音ボイス“黒おっけいさん”へと豹変する尾上世莉架。ディソートをリアルブートし、南沢泉里とのバトルが始まる。が、尾上世莉架のディソードは、自身の思考も盗撮し、南沢泉里へと伝播させていた。

 宮代拓留のやりたいことを与えて、それを叶えるために存在していると考えていた尾上世莉架に、「拓留が本当に望んでると思うの?」と南沢泉里。それはこのゲームを盛り上げるためだと口ごもる尾上世莉架に、南沢泉里は「なら私も殺しなさい!」と言い放つ。と、南沢泉里に向かう尾上世莉架のディソード。宮代拓留が駆けつけるも、そこで見たのは、倒れている南沢泉里の姿だった。

 シーンは変り、フリージアの事務所。匿われる宮代拓留の一方で、世間では宮代拓留は重要参考人として実名報道されていた。まるで6年前と同じだと話す百瀬克子。と、眠りから目覚めた宮代拓留に、神成岳志刑事から南沢泉里は一命を取り留めたと朗報が。ゲームの共通ルートでは、死んでしまっていただけに、TRUEルートではこんな感じで物語が進んでいたのかと思うと、こうしたシーンを見ることができて、うれしいところだ。

 特に、百瀬克子が「買い出しに行ってくるけど、みんな必要なものある? 奢るわよ」と聞くアニメオリジナルの場面は、緊張続きだったストーリーの中でも、ほっこりさせてくれる。春雨ヌードルとエクレアという女子らしい組み合わせで、ちゃっかり頼む有村雛絵。カ○リーメイトのような栄養調整食品を見せ、必要ないとアピールする神成岳志刑事。と、宮代拓留が「チョコ味、よく食べています」と話すと、神成岳志刑事は笑顔で「気にしなくていい。正直この味には飽きているんだ」と渡す。そんな2人の様子を見て、「なんすかーそれ? 男の友情ってやつですかー?」と有村雛絵がちょっかいを出す。何気ないやり取りが、ほほえましい。南沢泉里が生きているからこそのシーンだ。

 神成岳志刑事が栄養調整食品を宮代拓留に渡すところなんて、共通ルートでは、神成岳志刑事から届けられた来栖乃々からの遺書を読んだ後で、こんなにこやかな状況ではなかった。アニメオリジナルのシーンはどうなることかと思っていたけれど、尺の都合でカットされているところは置いておくにしても、概ねよい感じに作られているのではないだろうか。このまま最終回まで、安心して見られそうだ。

 今回のラストでは、宮代拓留の能力は過酷なリハビリによって発生したサイコキネシスではない、ということが明らかになった。ほかのギガロマニアックスは、渋谷地震の際に発生した白い光を浴びた直後に覚醒しており、久野里澪は「地震のとき、お前は何を望んだ?」と詰め寄る。そして、尾上世莉架は、渋谷地震の後に受診した診療記録以前の記録は存在せず、当時、隣同士だったという、マンションの隣の部屋にはまったく違う住人が住んでいたと言う。さらに、宮代拓留が小学3年生のときに受信した精神科の診療記録には、イマジナリーフレンドへの過度の傾倒と診断されていたことを突きつける……。つまり、尾上世莉架は……。

 またまた、ゲームでは一連の流れのところを、うまいところで区切ってくれている。次回は、尾上世莉架の電話の相手が明らかになるかな(今回、「まさか!」だった、あの人が出ると思っていたのに、伏線だけ残して繰り越してしまった)。
(文・桜井飛鳥)

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