亜人少女の切ない恋愛エピソードがSFへ飛躍!『亜人ちゃんは語りたい』第10話「デュラハンは時空を超えて」レビュー!

 後半。京子は才女らしく「鉄男に喜んでもらうこと」を家で大真面目に検討しはじめる。翌日、学校で「私の身体のこと知りたいと思いますか?」と鉄男に問いかける。もちろん「亜人デュラハンの性質について」知りたいかと訊いているのだが、知らない人が聞いたら完全に誤解を招く表現ですね。鉄男は大真面目に「すごく知りたい」と答えるがこれもたいがい問題発言である。

 単に個体数が少ないだけでなく、デュラハンは「首と胴体が分離している」「首から変な炎が出ている」「にもかかわらず生命活動が維持できている」と奇妙な点だらけ。自分の専門である生物学の手には負えないかも、と鉄男は京子とともに母校の大学に向かう。物理学者の友人・相馬の助言を得るためだ。

 相馬は「不敵な笑み」の1パターンしか表情がなく、おまけに突然絶叫したりする変人だった。あまりの変人ぶりに不安を覚える京子。実際、顔が全く動かない相馬は静止すると作画ミスか放送事故にしか見えず、視聴者的にもわりと不安になる。

 京子の頭部と胴体は「ワームホールで繋がっている」と興奮気味に仮説を立てる相馬。京子に聞き取りを続け、「食事は普通にできる」「声が出せるということは『見えない喉』が存在する」「胃カメラで検査すると、喉は『人間と同じ』に見える」「頭部・胴体とも切断面は皮膚に覆われている」といった情報を得て更に興奮する。

 相馬は熱く語る。胃カメラと目視で京子の首の見え方が異なるのは「観測それ自体が対象に影響を与えている」と言える。これは物理学の目下最重要の議題・量子論にそっくりだ。デュラハンの性質は物理の可能性そのものである、と。

 SFに興味がない人はサッパリな内容だが、要するに京子の身体のしくみは「物理の有名な学説にこじづけられなくもない」というわけだ。友人のあまりのテンションに若干呆れる鉄男。一方、頭のいい京子は物理学と自分の身体の神秘を知り「すごく面白かったです……」と感動を覚えるのだった。

 大学の中庭で空を見上げる京子。自分が今まで取り組んでいた「勉強」は、与えられた問いに答えるだけだったと反省しつつ、その先にある「学問」の面白さを実感する。学問は世の中を変えることができる。亜人の研究もその一つだ。自分の性質について研究するのもアリかなあ、と。はい、クソ真面目ですね。でも彼女のキャラクターに沿っているので上手い展開である。
 
 彼女を眺めながら語らう鉄男と相馬。意外にも、相馬は「亜人の研究は難しい」とこぼす。倫理的な問題を懸念しているのだ。単なる変人じゃなかったんですね、と好感度が上がったところで、鉄男は「倫理がなんだ」「当事者がOKならいいじゃねーか」とマッドサイエンティスト感満載で反論。今回の彼は問題発言が多い!

 亜人の性質が解明されれば「亜人を人間にする」ことも可能かもしれない、と話す相馬。それを聞いた鉄男は「首と胴が繋がった京子」を空想。長身だからひかりや雪より先輩に見えるなあ、などと考えているうちに、首と胴が繋がった彼女の「頭をハグする」「膝枕する」光景まで妄想してしまう。あまりにいかがわしい絵面に鉄男は赤面。「倫理観って大事だな…」と、いつもの鉄男らしいことを言うのだった。視聴者もちょっと安心したところで今回は幕。

 京子の可愛くも切ない恋の話からSFまで物語が飛躍する第10回。鉄男の「亜人好き」が裏目に出るor暴走する言動にヒヤリとしつつ、やっぱりイイ先生でよかったとホッとする。一方で今回、2シーンほど「鉄男に冷ややかな視線を向ける教頭」が抜かれるのだが放映中は回収されず。次回はどうやらシリアス展開らしいのでその伏線だと思われるが、果たして……? 
(文/JUP-ON STUDIO)

亜人ちゃんは語りたい 1

亜人ちゃんは語りたい 1

同体と首が分離しているからこそ、という色気がありますよね

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