【今月の不健全図書レビュー】『コミックアムール』2017年1月号 中高生が1000円出して買うか?

――東京都をはじめ、地方自治体の「青少年・治安対策本部」では、毎月“不健全図書”を挙げ、自主規制団体らと共に審議を行っている。この審議結果は毎回公表されるものの、審査過程での自主規制団体の声が顧みられることはほぼない。エロにせよ何にせよ、どこか尖った作品を大の大人が色々な立場から評価するという、そんな貴重な意見が無視されるなんてもったいない! このコーナーでは、“不健全図書”に指定されたマンガなどを自主規制団体の声と共に紹介していきたい。つまり、クラウド・ファンディング(群衆による資金調達)ならぬ“不健全図書”クラウド・レビュー(群衆による批評)、はじまり、はじまり~!

【今月の指定図書】

 1月の指定図書は、1冊だけ。レディースコミックの老舗「コミックアムール」(サン・メディアレップ)2017年1月号です。

 この雑誌、前回は2016年1月号が指定されております。マイナー分野に過ぎないレディースコミックでありますが、年に一度くらいは指定をしておこうということなのでしょうか。

 いやいや、年度代わり以降、毎月の情報更新が遅れ気味の東京都青少年課が、不健全図書指定になにか、やる気を持っているとは思えません。

 いよいよ指定するものがなかったということなのでしょうか……?

(以下、別記のない限り、【】内は「自主規制団体からの聴き取り結果」より引用)

 今回、指定の該当箇所として本編の大部分と、DVD特集の一部があげられています。DVDには「妻と親友とその娘」という、いわゆるAV的なドラマ。そして、ラ・コビルPresents HOW?上級者編」というセックスのHOW TO。そして「大人の社会科見学」と称するバイブバー(そんなんあるんだ……)の紹介動画の3本が収録されています。

 うち、指定の該当となっているのは前者の二つだけ。視聴した主観だとバイブバーが、もっとも怪しげだったんですが、男女がくんずほぐれつしているようなシーンがないから指定の該当箇所からは外したようです。この微妙な仕事をしている感はなんなのでしょう。

 そんな雑誌に対して、打ち合わせ会での意見は指定該当9・保留2・指定非該当5となりました。

 まず、注目したいのは、この雑誌に記された「大人の女性のための愛の専門誌」というキャッチ。指定該当意見では、この部分を指して【青少年が閲覧することが適当ではないという旨の十分な表示とは言えない】というものがあります。ところが、指定非該当意見では、同様にこのキャッチの存在を重視して【本編については、「大人の女性のための愛の専門誌」と表紙にあるように、絵柄も青少年に対して、それほど問題があるとは思えない】というのです。

 不健全図書指定において、有害云々以前に、こんな本を青少年が買ったりするのか否かという論点があります。数あるエッチな本の中から、あえてこれを選ぶ青少年なんて、そんなにいないとしか思えません。たとえ、キャッチのあるなしに拘わらず、ですね。

 そして、DVD。これがまた、青少年が観るようなものとは思えない。指定該当意見では【VDについても性的感情を刺激する】【DVDとともに、ほぼ全編にわたり性描写で、指定やむなし】【モザイクが大きく、女性中心に映すような工夫はあるが、挿入などの性交シーンが鮮明であり、性的感情を刺激する】と、問題点が列挙されます。でも、メインの収録動画は熟女しか出てこない、倦怠期の夫婦を中心にしたドラマ仕立ての内容。いや、中高生で、これに興奮していたら「もう許してあげて……」というしかありません。

 結局、この雑誌をわざわざ指定する必要性が希薄なのは、価格という歯止めがかかっているからだと思います。なにしろ、1000円+税と、雑誌としては、けっこう高め。

 値段の点でも、青少年が、わざわざ選ぶとは思えないのですが、どうでしょうか?
(文= http://t-hiruma.jp/

今月の自主規制団体の声
【出典】東京都青少年健全育成審議会「自主規制団体からの聴き取り結果」より
http://www.seisyounen-chian.metro.tokyo.jp/seisyounen/pdf/pdf/09_singi/679/679siryou8.pdf

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