■ビールの売り子事情もナマで体験
── 『球場三食』では、多くのエピソードでビールの売り子が登場します。あれは実在する人をモデルにして描いてるのですか?
渡辺 「写真を撮らせてください」とお願いして、撮影したものをベースにしています。
── 単行本第1巻には、各話の最後に取材後記的なイラストコラムが描き下ろされていて、売店の人やビールの売り子さんとのやりとりについても描かれています。その際に漫画の取材であることは明かしているんですか?
渡辺 明かしていません(笑)。実際、球場では売り子の写真を撮る人が、結構普通にいるんですよ。もちろん、みなさん本人にちゃんとお願いをして撮影していますけどね。
── コスプレイヤーの撮影に近い感覚ですね。
渡辺 だから、向こうも慣れているみたいで、笑顔でポーズをとってくれますよ。でも、私は資料にしたいので、「いいから、背中のタンクを撮らせて」と思っていたりして(笑)。
それと、「嫌な顔などせずに撮影に応じれば、ビールをたくさん買ってくれる」という思惑もあるみたいですよ。お気に入りの売り子さんから“樽買い”する人もいますからね。
── 第2幕の西武ドーム編に登場したネタですね。一人の売り子のタンクの分をグループで観戦に来た人たちが一度にすべて買い占めるんですよね。
渡辺 実は個人でもやる人がいるんですよ。
── 個人でですか!? 絶対に飲みきれないじゃないですか!
渡辺 あれ22~25杯分ぐらいあるみたいで。全部は飲まないのでしょう。もったいない。
── AKB48総選挙の投票券付きCDを買い占めるような感覚ですね。周りの席の人に振る舞えばいいのに。
渡辺 近くにいても、そんなことは一度もないです(笑)。
── Koboパークの回にありましたが、座席に届けてくれる売り子さんもいるんですね。
渡辺 はい。通路で買うと「席どこですか?」と聞かれるんですよ。私は動き回って取材をしているのでいないことが多いんですけど、「15分後に」みたいに言っておくと、だいたい来てくれます。漫画では描いていないですけど、かなり押しの強い売り子もいますね。ただ、売り子は注ぎ方に当たりハズレがあります。だから、売店のほうが安心できるところがあるんですよ。
── 泡だらけになってしまって、中身が少ないときがあるんですよね。西武ドーム編でそのあたりのことも描かれていました。
渡辺 あれは実話です。入れ直してくれて「どうですか?」「今度はどうですか?」と言われるんですけど、「軽いじゃない」って。でも、周りの人がみんなこちらを見ているので「これでいいよ」とするしかない。
── こうして聞いていると、渡辺先生が現地で体験したことを、本当にそのまま作品にしていることがよくわかります。
本日プロ野球開幕! プロ野球といえば“球場メシ”!! メシ情報とウンチク満載の球場食漫画『球場三食』 作者・渡辺保裕 インタビューのページです。おたぽるは、インタビュー、マンガ&ラノベ、出版業界事情、渡辺保裕、アフタヌーン、インタビュー、ドカコック、球場三食、近鉄バファローズの最新ニュースをファンにいち早くお届けします。オタクに“なるほど”面白いおたぽる!
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