芹之由奈『クロスプレイ-CLOSE PLAY-』アイドルたちが堕ちた「エンドレスエイト」を思い出す野球地獄!! 

 まさかの、この手段で連載をするのか!!

 伝説の『涼宮ハルヒ』における「エンドレスエイト」を彷彿とさせる、無茶な作品。それが、芹之由奈『クロスプレイ-CLOSE PLAY-』(スクウェア・エニックス)です。

 きっと、表紙買いをした人は度肝を抜かれているのではないでしょうか。

 この作品。簡単に紹介すると、アイドルがドーム球場でプロ野球選手と試合をする作品です。

 試合はごくごく真面目でスタンダードな野球です(少なくとも、今のところは)。別に、とんでもない魔球を使ったり、野球を言い訳にした人殺しが行われたりはしません。切腹する選手も、限界まで投げすぎて死ぬ選手も、はたまた不治の病を隠している選手もいません。ただ、アイドルたちはガチの素人です。ドームを満員にする人気と実力はあるけど、野球未経験者の集団です。

 物語の始まりは、塚本凪をリーダーとする高校生アイドルグループ・LOVEDogsの、初のドーム公演から始まります。いよいよ迎えた念願のステージ。全力を尽くそうとステージに立つ彼女たちは、突然の停電に見舞われます。そして、気がついたとき、世界は変わっていました。メンバーたちは、ドームのステージではなく球場に立ち、まさにプレイボールを迎えようとしていたのです。

 そこに現れたのは、凶悪な顔をしたマスコットキャラクター。そのキャラクターは、そこがLOVEDogsのメンバーたちが野球アイドルとして本領を発揮している別世界だと告げるのです。

 そんな世界に飛ばされた理由は、意味深に語られます。いずれにしても、元の世界に戻る理由はただ一つ。試合に勝つことです。

 ひとまずは、その説明を飲み込んでプレイボール。もちろん、勝てるハズはありません。初球から、ホームランを打たれてしまいます。

 慣らしもなくて、いきなりホームランを打てるような球を投げることもできるアイドルにもビックリですが、そこはご愛敬。

 これは、途中から謎の助っ人とか、とんでもない力に目覚める展開なのかと思うでしょう。

 そんなことはありません。1回表で試合は61対0という惨憺たる結果(注:日本のプロ野球のルールではコールドゲームはありません)。

 とても勝てないとメンバーが諦めた時に、奇跡(?)は起こります。まばゆい光に包まれた次の瞬間。再び彼女たちは、試合開始前の球場に立っていたのです。それも、体力は回復した状態で!

 そう、完全なループ。どうも、この世界ではガチで勝利することができるまで永遠にループを続けるようです。しかも体力が回復しているわけですから、いつかは勝てるのじゃないか。

 かくて、メンバーたちは気持ちを新たにして試合に望んでいくのです。確かに、体力が回復する設定なので、いつかは勝てるような気がします。でも、ゼロ状態からプロレベルになるまで、いったいどれだけのループが必要なのでしょう。

 まさに無間地獄!! いや、ここが女を磨く野球地獄というヤツか。

 今のプロ野球に、野球地獄が足らないと嘆いている方は、ぜひ読むことをオススメします。本気でループを続ければ、この作品は名作になりそうな気がします。
(文=大居候)

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