■2重のセキュリティによるきわめて高い機密性を実現
ボイス認識機能は録音したユーザーの声を再生させるなどして簡単に“なりすまし”ができてしまうが、この読唇術技術はユーザーの口の動かし方の特色を正確に認識して判別するため、なりすましはほぼ不可能だろう。また、何度でもパスワードを変えることもできる。唇の動きの個性と、パスワードの文字という2重のセキュリティで、きわめて高い機密性を実現しているのである。
「2人の別人に同じパスワードが設定されていたとしても、唇の動きで人物を見分けることができます」と、明教授は同大学サイトのリリース記事の中で言及している。
今後は実用化に向けての取り組みが行なわれ、PCやスマホなどの情報端末はもちろん、ATMやエントランスシステムなど幅広いセキュリティへの適用が見込まれている。また、顔認証システムなどすでに活用されているシステムに組み合わせて、さらに強固なセキュリティを実現することも期待されている。
一方でオックスフォード大学とDeepMindの合同研究チームによる、人工知能との完全なフリートークを実現するプロジェクト“Watch, Listen, Attend, and Spell”(見て聞いて参加して話す)の根幹の技術である“読唇術AI”の開発も順調に進められているようである。
最近の報告によれば、テレビのニュースキャスターなどの唇の動きを認識する試験で、現在正答率が50%に届いているということだ。より高いセキュリティ技術が開発されることは歓迎すべきだが、映画『2001年宇宙の旅』に登場する人工知能の「HAL9000」の登場も予見させ、一抹の不安は禁じ得ないかもしれない。
(文/仲田しんじ)
【参考】
・Futurism
https://futurism.com/lip-reading-computers-could-spell-the-end-of-passwords-as-we-know-them/
・オックスフォード大学
http://www.ox.ac.uk/news/2017-03-17-new-computer-software-programme-excels-lip-reading
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