人を縛り続けるのは誰かの優しさなのかもしれない──ドラマ『東京タラレバ娘』第9話レビュー

人を縛り続けるのは誰かの優しさなのかもしれない──ドラマ『東京タラレバ娘』第9話レビューの画像1ドラマ『東京タラレバ娘』公式サイトより。

 いよいよ終盤を迎えた『東京タラレバ娘』(日本テレビ)。第9話では、「誰かを縛る」がテーマであった。

 倫子、香、小雪、そしてKEY。それぞれを縛り付けていたものの正体が露わになり、そこから逃れるためにもがき苦しむことになる。

 早坂(鈴木亮平)と正式に付き合い始めた倫子(吉高由里子)。気取らずに食事をしたり、相手の部屋でくつろいだりと、安らぎを感じる付き合いに満足する。仕事も順調に進み、充実した毎日を過ごしている。

 しかし、倫子を縛っているのは、実は早坂の優しさだ。彼女は「縛られている」とは気付いていないし、そして、縛られるのは悪いことではない。人と人が付き合い、ましてや一緒に暮らすとなれば、そこに何がしかの「縛り」が生じるのは当然のことだ。ある意味、それを幸せと感じることがあるのもまた確かなのだ。

 香(榮倉奈々)は、リョウ(平岡祐太)ときっぱり別れることを決め、訪ねてきたリョウにも会おうとしない。「愛情」という縛りから自由になるために。

 一方、不倫をしている小雪(大島優子)は、丸井(田中圭)部屋へ泊まりに行く。一夜を過ごした朝、丸井は奥さんの出産が始まり、小雪を置いて慌ただしく出ていく。

 彼もまた、「家庭」という幸せに縛られ、小雪も「不倫」という甘美な感情に縛られている。小雪は意を決し、丸井との別れを決断する。

 そしてKEY(坂口健太郎)。かつて結婚していた女性の七回忌で、彼女の父親から、もう彼女のことを忘れてくれていい、と言われる。

 結婚していた女性への思い。彼はそれに縛られていたのだろう。しかし、その時間はたとえ彼女が亡くなっていたとしても、幸せな時間だったはずだ。

 七回忌の帰り、KEYはやけ酒をのみ、酔いつぶれる。通りかかった倫子に感情をぶつける。

「彼女は幸せだったんだろうか?」「彼女は自分を好きだったんだろうか?」そう問いかけるKEYに倫子は答える。

「私にはわかる……感謝しかないよ」

 泣き崩れるKEYを、倫子は抱きしめる。

 3人の女性と1人の男性は、縛られることで幸せを感じる。人を縛りつけるもの、愛情、不安、嫉妬、優しさ……そんなものだ。

 そして、そこから開放された時、また新たな幸せを見つける。多分、幸せの形なんてたくさんある。大事なのは、どの段階において、一番自分らしくいられるかということではないだろうか。

 KEYは、「自分の人生を歩いてくれ」という言葉を聞いてショックを受けている。おそらく、自分が彼女に縛られていたなどということは想像もしなかったのだろう。私は、彼が一生妻の思いに悩みながら生きていくのもありではないかと思う。香だって小雪だって、報われない恋にしばられたまま生きるのも、それはそれで幸せなのだろう。

 しかし、彼らは皆、新しい一歩を踏み出そうとしている。

 今週はいよいよ最終回。ドラマはいったいどんな幸せを提示してくれるのか。そして、タラレバ娘の3人に幸せは訪れるのか?

 注目して待ちたいと思う。
(文=プレヤード)

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今夜放送の最終話でどう動くか……

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