『クズの本懐』第10話 「なんのための騎乗位だー!」と叫びつつ、エロシーン(1分)を繰り返そう、永遠に

『クズの本懐』第10話 「なんのための騎乗位だー!」と叫びつつ、エロシーン(1分)を繰り返そう、永遠にの画像1『クズの本懐』公式HPより

 紫のブラをきっちり着けたまま上下に動く姿には「なんのための騎乗位だー!」と叫びたくはなるものの、『クズの本懐』第10話は冒頭から超エッロいシーンで始まりました。

「ほら、ゆって。先生って」

 茜先生(CV:豊崎愛生)は、全盛期の希崎ジェシカを彷彿とさせる汗っかきぶりで、麦(CV:島崎信長)を組み伏せて快感を貪っています。

「ねえ、どんな感じ?」

 問われた麦のほうも汗だくだし、こちらはヨダレまで垂らしちゃってます。麦はわかっています。茜先生の気持ちは全然自分には向いていなくて、「今日はきっと、そんな気分」なだけ。「名前で呼ばせないで、俺とプレイしている」だけ。

 それでも上から、

「すっごく、あっつい……」

 なんて、ため息まじりにトロけた瞳でつぶやかれてしまったら、「うっ!」となってしまうしかありません。

 1分少々のエロシーンでしたが、最低10回は巻き戻して見直せますよ。むしろこの動画を横浜・曙町の言葉責めヘルス「イッツブーリー」に持ち込んで「この通りやってくれ!」とお願いしたいくらい。60分コースで60回繰り返してもらいたいくらい。そんくらい。

 それはそれとして、今回から、この茜先生を中心に物語が動いていくことになりそうです。主人公のJK・安楽岡花火(CV:安済知佳)は大好きだった“お兄ちゃん”こと鐘井先生(CV:野島健児)にばっさりフラれてしまいましたし、その鐘井先生は茜先生と1回寝てるし付き合ってることになってるし、麦も茜先生のほうを向いているので、おのずと花火の出番はなくなってしまいます。花火自身、女として敵意を抱いていた茜先生には“完敗”を認めておりますし。

 茜先生はここまで、圧倒的に「上手(うわて)」な存在として描かれてきました。どんな男でも自分に好意を向けるし、その好意に執着がないので常に相手を翻弄することができる。そして、そうした好意を踏みにじったり、ほかの女子に見せびらかすことで、自分の価値を再確認し、その価値の上にふんぞり返って生きてきました。そういう自分の本性を見抜き、お兄ちゃんへの真剣な思いを隠そうともせずに鋭い糾弾の目を向けてきた花火のような「あんな風」な思春期を通過せず、大人の女になったのでした。

 そして、麦が茜先生を好きになったのは、そういうところでした。だから、茜先生のとことん打算的で利己的なところが「好きっす」と改めて告白します。これにより、麦は初めて「茜先生のほうからキスしてくれる」というご褒美をいただきましたが、茜先生は決して心を許したわけではありません。麦が「来週、どこか出かけませんか?」とデートに誘うと、「ごめん、その日は鐘井先生の日なの」と冷たく突き放します。

 ところが、異変はその「鐘井先生の日」に訪れました。

 鐘井先生と水族館デートに出かけた茜先生は、イラつきが止まりません。1回寝てるのに、それ以来、一向に手を出してこないこともおかしいし、その1回のセックスも茜先生からけしかけたようなものだし、自分のほうが求めているような状態が、どうにも納得できません。超イラつきます。

「もう、いらないや。ごめんね、安楽岡さん」

 そう心の中でつぶやく茜先生。もともと、花火に見せつけて優越感に浸るためだけに始まった鐘井先生との関係でしたので、茜先生には未練なんてあるはずがありません。鐘井先生は誠実なだけで退屈だし、せいぜいこの人が好きな茜先生は“清楚で可憐”な茜先生だし、どうでもいいのでデート終わりのバス停で別れを切り出すことにしました。

 しかし、そこに現れたのが、過去に茜先生が“遊んだ”男。

「茜じゃん。うわ、また新しい男!」
「こいつマジで男好きのクソ女だから気を付けたほうがいいよ!」

 などと、真実を突きつけてきます。

 普段の茜先生なら「きゃっ、怖い! 何この人……」と鐘井先生の背中に隠れたりしそうなものですが、この日の茜先生は何しろ気分が悪い。鐘井先生に堂々と「私、クソビッチなんで」「わりとかなりハードル低く誰とでもヤリますし」などと宣言。さらに「生き物として男好きなんだと思います」「正直、やめられないと思います」と追撃し、別れを告げました。

 そうして、茜先生はまた、ヤレる男に連絡したり、洋ドラを見たりする日常に帰っていこうとしたのでした。

「やめなくていいです、やめなくていいですから」

 鐘井先生は茜先生の腕を掴んで引き止め、抱きしめていました。茜先生はまるで理解できませんが、「デート、もうこれっきりですか?」と問われると「いえ」と、つい返事をしてしまうのでした。

 その直後に麦を呼び出して一緒にお風呂に入るなど、ビッチであることには変わりない茜先生ですが、なんか頭の中はぐるぐる回っているようです。麦からも、「俺はどうせ若いですから、対等なフリしたって全然未熟だし割り切れねえし、めんどくさいんです。それが好きってことだから!」と真剣な告白を受け、こちらもデートの約束をしてしまいます。

 この告白の直前、麦の夢の中に花火が現れていました。茜先生を変えたいと思っている麦は、まずは自分が変わらなきゃいけないということに気づいていたのでした。「それに気づいただけ、いいんじゃない?」夢の中の花火が言います。麦はまだ花火を頼りにしているし、執着も残っているということです。

 自らの若さと未熟さを全面的に認め、心を丸裸にして思いをぶつけてくれた麦。なんだかわからないけれど、とりあえず全面的に受け入れてくれたっぽい鐘井先生。茜にとって、あまり出会ったことのないタイプの男が2人、目の前に現れたことになります。

 ここまで見てきて、この作品が本当に描きたかったのは、主人公の花火ではなく、茜のほうだったんじゃないかな、と思うんです。茜のほうが“クズ”として成熟しているし、対人関係や倫理観も含めて「失われた時間」の中身が明確だし、期間も長い。作家が本当に回復や救いを与えたいのは、花火よりたぶん、茜のほうなんじゃないかなと。

 茜はモノローグで、誰とも精神的にコミットしないビッチ的な行動を「ひとりでちゃんと立っていられる方法」と言っています。この作品でたびたび言及されてきた「ひとりで立つ」という表現。花火は「ひとりで立てない」「ひとりで立つという発想からしてない」という状態から、麦やえっちゃん(CV:戸松遥)とのいろいろを経て、なんとか「ひとりで立ち」始めています。立ち方を知らなかった花火より、間違った立ち方で「立ってしまっている」茜のほうが、より闇が深く見えるということです。

 そう考えるとやっぱり、実にターゲットの狭い作品だなーと思います。後半に入ってがぜん面白いんですが、円盤セールスが心配です。はい。
(文=新越谷ノリヲ)

クズの本懐

クズの本懐

コミックは追い越しました

『クズの本懐』第10話 「なんのための騎乗位だー!」と叫びつつ、エロシーン(1分)を繰り返そう、永遠にのページです。おたぽるは、アニメ作品レビューの最新ニュースをファンにいち早くお届けします。オタクに“なるほど”面白いおたぽる!

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