『クズの本懐』第7話　仰向けで寝ている「つるぺたロリっ娘」の両膝を掴んで開く瞬間……！

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『クズの本懐』公式HPより

　フジテレビ系ノイタミナ枠『クズの本懐』第7話。ちょっと、先にエロいところだけ整理しちゃいますね。今回の見どころは、麦（CV：島崎信長）とモカちゃん（CV：井澤詩織）のベッドシーンです。

　つるぺたロリっ娘なモカちゃんの、麦に上半身を脱がされての「きゃっ」が、超かわゆいです。モカちゃんの小さくて細くて白い身体が、ヒクッとします。「胸はイヤなの……」と、つるぺたにコンプレックスを持っているモカちゃんですが、麦に「モカのだから、見たいんじゃん」と諭されると、ブラがはらりと外されます。

　その直後の、2秒くらいのカットですね。仰向けに寝ているモカちゃんの両膝を掴んで、脚を曲げさせながら開かせるモーション。クンニしたり、正常位で挿れたりする直前の、あのモーション。このモーションって、かつて地上波アニメで描かれたことがあるんですかね。

　思うんですけど、男にとっては、あのモーションの瞬間こそがゴールなんですよ。

　ご存じの通り、この地球上で直立二足歩行を行うのは私たち人間だけです。当然、直立二足歩行を行う雌性も人間の女性だけということになります。

　つまり、人間の女性に性的興味を抱くということは、直立二足歩行に欲情するということです。直立二足歩行が人間の女性の知恵と理性と平衡感覚を司るとすれば、その対極に本能と欲望と乱倫があるわけです。

　そう考えてみると、例のモーションって、直立二足歩行の対極じゃないですか。歩行中は接地している足裏が天井を向いているし、体重を支えるために大きな筋肉を備えた股関節・太ももあたりから完全に力が抜けているし、自発的に股を開かないまでも、大事なところの見え方は男の動きに委ねられている。

　きっとこのモーションの瞬間が、最終的に成立し合う瞬間なんだと思うんです。ついつい、おまんこばっかり見ちゃいますけど、モカちゃん、エロい顔してたんだろうなー。アニメでも、ついついおまんこ方面だけしか作画されてませんでしたけど。

　で、ここがゴールであるからして、あとはもうウィニングランですよね。昇華するのみです。ぺろっぺろですし、ずっぶずぶです。

　でも、ここから昇華しないのが『クズの本懐』の本懐なんだ。麦という男なんだ。止めちゃうんだ。

　今までも、麦は途中で止めちゃうことがけっこうありました。主人公・花火（CV：安済知佳）との行為も、止めちゃったことがありました。その理由は、ここまでいろいろと語られていますが、ざっくり言うと麦も花火も「クズ」だからのようです。

　今回は、麦はモカちゃんと、花火はそこらへんのヤリチンとデートするお話でした。花火はヤリチンに「やらせて」と迫られて、右から左に受け流していたらヤリチンがどっか行っちゃいました。麦はモカちゃんをお持ち帰りしますが、上記のように自ら寸止めをいたしました。そんなこんなで、花火は“お兄ちゃん”こと鐘井先生（CV：野島健児）に、麦は茜先生（CV：豊崎愛生）に「夏休みが終わるまでにちゃんと告白する」と決めたのでした。

　ホントに、これだけの話なんです。この簡素なプロットの行間に、膨大なモノローグでそれぞれの心情が語られている。自分たちが、いかに「クズ」かが語られる。

　でもこれ、見てても理解できないよねえ、理解できないんですよ。理解はできないんだけど、回を重ねるごとに、薄皮を1枚ずつ剥がしていくみたいに、ボンヤリとこの人たちの輪郭が見えてくる。薄皮を剥がされた人たちが、いつもなんだか痛そうにしている。

　今回、花火とデートして途中でいなくなっちゃったヤリチンが、花火に「やりたいばっかで頭いっぱいですか!?」と詰問され、「そうだけど」と平然と返すシーンがありました。「性欲なめんなよ」と。

　花火と麦も、例えば周りのクラスメートから見れば普通のカップルですし、屋上や体育館裏でキスばっかしてますし、「やりたいばっかで頭いっぱいですか!?」って言われてしかるべき生活を送ってるんです。私たち視聴者に聞こえている彼らのモノローグを一切無視すれば、肉欲に溺れた高校生カップルにしか見えない。

　逆にいえば、あのヤリチンくんにも悩みはあるだろうし、きっと自分のことを「クズ」だと思っているだろうし、ヤリまくってるのだって、心の隙間を埋めるためだったり承認欲求だったり、モノローグを聞いてみなきゃわからない心情をたっぷり抱え込んでるに違いないわけで。

　花火はヤリチンくんに逃げられて「好意と欲の違いすらわからない」と、ひとりごちました。花火にとって“お兄ちゃん”に対する好意は切実であり、ヤリチンに向けられた欲は軽薄だったはずです。「好意」と「欲」の間には、花火の中で厳密な区切りがあったはずなんです。それが曖昧になったとき、じゃあ花火は自身の“お兄ちゃん”への好意とどう向き合うのか。次回以降、またたんまりと、わかりにくいモノローグで語ってくれるのでしょう。そんで、痛そうにするのでしょう。楽しみです。
（文＝新越谷ノリヲ）