■日下部雪(雪女・日本の民間伝承)
小説集『怪談』内収録「雪女」(著:小泉八雲/1904年)
本来の日本伝承における雪女は、出会った人間をことごとく殺してしまう、という危険な妖怪でした。ですが現在の雪女は、この小説に描かれた「美しい雪女が、人間の男と結婚し、よい妻として尽くすが、最終的に姿を消す」という、切ない運命を辿る美女としてのイメージが主流となっています。
アニメ内にて先生が雪ちゃんに語った「2人の木こりが吹雪をしのいで小屋にいたら、片割れが雪女に殺されて~」というエピソードは、まさにこの小説の内容です。
■佐藤早紀絵(淫魔の女性形であるサキュバス・キリスト教の悪魔)
中世ヨーロッパの物語集『デカメロン』(著:ジョヴァンニ・ボッカッチョ/14世紀)
元ネタが「キリスト教の悪魔」であるため、中世ヨーロッパにおける淫魔多発スポットである、堕落した修道院を題材とした物語が多数収録されているものとなります。TVアニメ化もされたマンガ『純潔のマリア』(作:石川雅之/講談社)などもオススメです。
聖職者が集う修道院に、なぜ淫魔が多数出没していたのか。理由は簡単、性的な笑い話を作られてしまうほどに、当時の修道士、修道女たちは堕落しきっており、かつ修道院自体がとても評判の悪い場所であったからです。
さらに当時の人々、特に聖職者は、不倫、結婚前の妊娠、性行為の痕跡など、性的なタブーを犯していたことが発覚すると「これは淫魔の仕業だ」と責任転嫁し、ごまかしていたのです。先生は悪くないよ。
最後に、淫魔に襲われたといううらやましい、ではなく、犠牲者の方々の証言をご紹介しましょう。サキュバス(女性の淫魔、被害者は男性)とのセックスは「この世のものとは思えない極上の快楽」などの、肯定的な意見が多く見られます。その一方で、インキュバス(男性の淫魔、被害者は女性)とのセックスは「痛い、苦しい」などの否定的な意見ばかりでした。
――ここまで紹介してきたのは、入手が比較的容易かつ、娯楽作品として楽しみながら元ネタを知れる本となっています。特に『吸血鬼ドラキュラ』は、数々の作品に登場するヴァンパイアを語る上では絶対に外せない名作中の名作ですので、ぜひ手にとってご覧ください。
■文・たけしな竜美
オタク系サブカルチャー、心霊、廃墟、都市伝説、オカルト、神話伝承・史実、スマホアプリなど、雑多なジャンルで記事執筆、映像出演、漫画原作をしています。お仕事募集中です!
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