部屋の中でも遊べる小型ドローンが次々と登場しているが、小型化によってもたらされる用途のひとつになんと“ミツバチ化”があるという。超小型のドローンがミツバチのように植物の受粉を手伝うというのだ。
■農作物の他家受粉をサポートする“ミツバチドローン”
数年前から世界の各所でミツバチの減少が叫ばれている。強力な殺虫剤が普及したことや、地球温暖化などいくつかの理由が考えられ、減少に歯止めがかかっていないといわれている。
受粉をミツバチに頼っている農作物は少なくなく、例えばイチゴ、リンゴ、オレンジ、玉ねぎ、ニンジンなどの生産がミツバチの減少で徐々に困難になっている実態があるという。そこで将来、ミツバチの減少を穴埋めするかたちで活躍が期待されているのが小型ドローンである。
茨城県つくば市にある産業技術総合研究所(AIST)の都英次郎氏の研究チームは、花の他家受粉(cross pollination)を助けるミツバチの働きを再現するドローンの開発を行なっている。
おしべの花粉を別の個体のめしべに付着させ、タネを実らせる他家受粉は、植物にとって種の遺伝的な健全さ保つために重要な受粉と考えられている。花粉の媒介には風が利用されるケースもあるが、ミツバチなどの昆虫もまた大きな役割を担っている。そしてミツバチが減ってしまった現在、この他家受粉をドローンで肩代わりすることが喫緊のニーズであるという。
現在、都氏らが開発しているのは全幅4センチ、重さ15グラムのクアッドコプター型の超小型ドローンだ。
機体の下底部には密集した馬の毛で覆われた部分があり、毛は特殊なジェルでコーティングされていて、花粉を付着させることができる。実験では、このドローンがユリの花のおしべの花粉を毛に付着させ、その後別の花のめしべに接触させることに成功している。見事にミツバチの代わりになる働きを見せているのだ。
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