恋は全てを許す免罪符なのか?──ドラマ『東京タラレバ娘』第5話レビュー

 そしてもう一つ。倫子は脚本家としていくばくかの才能を持っている。「売れてない」とはいいつつも、誰にでもできる仕事ではないはずだ。才能を持っている人は、その才能と向き合い、戦い続けることもまた必要なことだと思う。

 今回印象的だったのは、KEY(坂口健太郎)と倫子が偶然カフェで出会い、会話するシーン。自分が一度降ろされたドラマのコンペに挑戦する倫子は、「ピンチはチャンス」と言う。それに対し、KEYは言う「むしろチャンスはピンチだ」。

 結局、コンペには通らず、KEYの言うことが正論であったということになる。一昔前、「ピンチはチャンス」という言葉が盛んに言われた時期があった。しかし、最近の風潮は、「ピンチは、あくまでもピンチ」というものであるように思う。そして今回の「チャンスはピンチ」。

 もちろんこれらは“言葉のあや”、つまり受け止め方でしかない。

「ピンチはピンチとして正面からぶつかる」のか、「チャンスの時にも舞い上がらずピンチとの気持ちで事に臨む」のか。そういったことも、このドラマを見ていて考えさせられる。

 今回は言葉にならない、表情で見せるシーンもいくつかあった。

 倫子がコンペに落ちたと知ったKEYが、去り際に何か言おうとする。

「頑張れ」だろうか、「落ち込むな」だろうか。何か優しい声をかけようとしているように見える。

 そして、ラスト、倫子が奥田に会いに行く時、「倫子さんの幸せを願っている」というタラ(声:加藤諒)とレバ(声:あ~ちゃん)も、どこか悲しそうな顔をして倫子を見送る。

 恋に走る倫子は幸せであり、それは祝福されるべきであろう。でも、見ている我々としても、どこか残念な気持ちにもなる。

「恋は麻薬みたいなもの」とはよく言われることだが、奥田と付き合うことになった夜、倫子は幸せを感じて街を歩く。

「今日から私、道の真ん中を堂々と歩いていける」

 これは、先ほどの「チャンスはピンチ」の考えともつながってくる。もしかすると、恋をして舞い上がっている時ほど、人は大切なものを見失いがちなのかもしれない。

 倫子にとって、本当に大切なものはなんなのか。この後、倫子は恋と仕事のどちらを取ることになるのだろうか。
(文=プレヤード)

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