【劇場アニメレビュー】ゲストヒロイン・ユナ(神田沙也加)の歌唱力がすごい! イチゲンでも楽しめる『劇場版ソードアート・オンライン―オーディナル・スケール―』

 その伝では今回も、さすがにキャラクター同士の関係性など詳細なところはわからないにせよ、話の流れで映画そのものは十分面白く見ることができるし(観客もそうそう馬鹿ではないだろうし)、それどころか、観賞後はTV版をチェックして多様な人間関係などを知りたくなる衝動に駆られるものがあっただけでも(私自身、試写会の帰りに即TVシリーズのDVDをレンタルして一気に見ました)、本作は大成功の部類に入ると思われる。

 ストーリーの詳細などネタばれになるようなことは伏せるが、面白かったのはVRでは英雄となった主人公キリトが、ARはとんと苦手で苦労しまくっているところで、そこだけをとっても新旧のゲームの世界観が似て非ざるものであることが容易に理解できる。

 またオーディナル・スケールが開催される都内各地のロケーションも実にリアルに映えわたっており、こういった作り手側のきめ細かい配慮の数々も、見る側により深い説得力を与えてくれている。

 さらに今回特筆すべきは、オーディナル・スケール内におけるARアイドルとして、人気を博している歌姫ユナの存在で、ゲーム開催時に彼女のステージに遭遇すると特殊効果を得られるという設定もさながら、バトルに併せて彼女の歌が始まるや、俄然映画そのものが弾みだし、とてつもない昂揚感を生み出していく。

 ユナを演じているのは、今やミュージカル女優としても、『アナと雪の女王』日本語吹き替え版をはじめとする声優としても大活躍中の神田沙也加で、やはり誠実かつ着実な声の演技と、それに呼応した幅のあるヴォーカルの魅力が今回の最大の魅力になっていることに疑いようはない。さらに今月25日からいよいよ始まる『宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち』全7章の中で、彼女は宇宙の女神テレサを演じており、その意味でも今月は“神田沙也加・声優月間”としても大いに楽しめそうだ。

 一方でキリトとヒロインのアスナとのラブ・ストーリー的パートも、さりげなくも印象に残る仕上がりとなっており、もちろんバトル・シーンのダイナミズムなどにぬかりがあろうはずもないのだが、そういった思春期特有の繊細な感情にもこだわりを示しているところに、本シリーズが支持されている秘訣があるのだろう。

 現在ハリウッドで実写映画化も企画されている本シリーズ、なるほどこの内容なら全世界共通の秀逸かつ明快なエンタテインメントとして、海の向こうの面々も飛びつくはずだ。

 昨年に引き続き、今年も国産アニメーション映画の大躍進は続きそうな気配である。
(文・増當竜也)

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