『ちょっといっぱい!』(火曜) JKが働く居酒屋!? 繁盛するには理由があるハズ

 
 こんな居酒屋があったら、繁盛するのは当然でしょう。

 そんな感想を抱いた、火曜『ちょっといっぱい!』(芳文社)。掲載誌が「まんがタイムきららフォワード」ということで、当然ながら女の子がキャッキャウフフとしまくる作品です。

 その、キャッキャウフフの舞台が、この作品では居酒屋なのです。物語のヒロイン・宮原もみじは、一人暮らしの高校生。そんな彼女が居酒屋「こはる屋」でアルバイトをするようになって、物語は始まります。

 まず、この居酒屋の設定がスゴイ! 街の中にフラっとある古民家風の一軒家なのです。この雰囲気で、もう勝ってます。絶対に「大人の隠れ家」みたいなのを好むヤツら。最近だと、赤羽だとか京成立石あたりで飲むのが「通」だと思って、食べログに自分に酔ったようなレビューを投稿している人たちが、次々と押しかけそうです。

 ……ま、そんな客はこないので安心して下さい。

 この店を切り回すのは、店長の快活な美女・皐月と、先輩なのにちっちゃい美少女の、ちゆり。そして、酔っ払いだけども仕入れに長けた・真澄の3人。そもそも、もみじが働き始めるきっかけは、初日にバックれたバイトの代わりということなのですが、いったい今までは、どうやって店が回っていたのか? それに、描かれている風景から推測するに、人数が入りそうな店のつくり。宴会に対応した座敷もあるし、少なくとも30席はくだらない。果たして、3人で回せるのか? 加えて、これだけの古民家を居酒屋にするためには数千万円はかかりそう。いったい店長は何者なのか、なんかの愛人なのか……?

 そんな汚れた妄想も、本作を読み進めているうちに、どんどん浄化されていきます。

 何しろ、ヒロインのもみじのキャラクターが、ほとんど聖人の域なのです。第1巻では居酒屋での物語とシンクロする形で、学校生活も描かれます。ここでは、もみじが、いつも孤立しているクールビューティーの凪と距離を縮めていく様子が描かれていくのです。

 人との距離を測りかねている凪に拒絶されながらも、とことん親切な、もみじ。ともすれば、あざといフィクション感が出てしまうはずなのに、描き方が上手いではありませんか!

 そんなワケで、作者の「こんな居酒屋があったらいいな妄想」が全開になっている気もする、この作品。リアルに実在したら、絶対にチャージだけで3,000円は取られそうだな~などとツッコミつつも楽しく読める作品だと感じました。いや、むしろツッコミながら読むのが正解かも?
(文=大居候)

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