今でも“『真田丸』ロス中……”という人にオススメ、『信長の忍び』原作者:重野なおきの『真田魂』をみんなで読もう 

 真田幸隆はかなり優秀な武将だったらしく、歴史小説では幸隆・昌幸・信幸&信繁の三代を括った作品も多いほど。昌幸がなぜそこまで武田信玄に心酔していたのか? というアンサーとなる部分にも触れられるし、『真田丸』には登場しなかったが、真田家を描くにあたって幸隆から描きはじめる(結構はしょっていたが)あたり、さすがのチョイス。

 登場キャラクターの描写も、大分違うのも面白い。たとえば、現在のところ主人公である昌幸が鋭い分析・観察力を持っているというのは『真田丸』と共通しているが、その性格はマジメでやや堅苦しく、妻の山手殿にラブラブで隙あらばムラムラっとしてしまうという設定に(なおゲタを投げるのが好きで得意という特徴もあるが、これは命令を破った部下に下駄を投げつけたという逸話からきたもの。『真田丸』では信幸が「犬伏」でお銚子を投げつけたシーンとつながっている)。

 楽しいのは各女性キャラクターたち。というのも、真田家に限らず、戦国の女性たちは残っている資料がほとんどない、というケースが多い。有名武将の妻や娘でも、人柄が伝わるエピソードどころか、生死さえ不明だったりもする――逆に考えれば、作者が想像で自由に描いても、齟齬が生じにくく、歴史マニアから突っ込まれたりもしないのだ。

『信長の忍び』では、信長の妻・帰蝶が美人だけど天然ボケキャラとして縦横無尽の活躍を見せているが、『真田丸』でも山手殿や村松殿が可愛らしかったり、突っ込み役として有能だったりとユニークに描かれている。

 歴史的な資料が乏しい女性キャラを主人公格に据えてしまうと、某『花○ゆ』のように下手に主人公にしてしまうとファンタジーになってしまいがちだし、かといって史実に忠実なだけではほとんど出番がないということになってしまう。そんな歴史小説・マンガにおいて、女性キャラが上手いこと生かされているのが、重野なおき歴史マンガの共通点であり、面白いところ、上手いところだと思う。

 連載開始から1年以上経つが、刊行された単行本はまだ1巻のみだし、「ヤングアニマルDensi」での配信もある。とっつきやすいと思うので、『信長の忍び』、『真田丸』を見ていた方、好きだという方にはぜひ試してみてほしい。
(文・馬場ゆうすけ)

1702_sanada02.jpg『真田魂』1巻表紙(白泉社)

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■「ヤングアニマルDensi」『真田魂』
http://www.younganimal-densi.com/ttop?id=36

真田魂 1 (ジェッツコミックス)

真田魂 1 (ジェッツコミックス)

昌幸の兄、長坂釣閑斎とか、渋いキャラも

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