『ピュアメール』タイトル詐欺な名作エロゲー!『School Days』オーバーフローの歴史を知る上でも重要な作品はエロアニメ版も素晴らしい

 ある結婚式場で、結婚相手とどこで知り合ったかアンケート取ったところ、「職場で出会った」のが40%近く、「友人の紹介」が20%近く、その次が「学校」そして「合コン」という結果であった。そして、第五位にランクインしたのが「インターネット上」だ。パーセンテージにすると7%。TVのニュースでは、インターネットで知り合ったという同士のトラブルがよくニュースになるが、21世紀においてインターネットが出会いのツールのひとつであることは間違いがないようだ。

 今回はそんなインターネットをテーマにした純愛ゲーを紹介しよう。『School Days』で一躍有名になったオーバーフローから2000年にリリースされたエロゲー『PureMail -ピュアメール-』だ。

 『PureMail -ピュアメール-』は攻略難易度がかなり高く、フルコンプするにはかなりの労力が必要だった。古いエロゲーは難易度が異常に高かったりするが、その中でも本作は特に難しい部類になるだろう。また、ルートによって凌辱ゲーにも純愛ゲーにもなるなど、メインヒロインが別人化していく様は、当時としては斬新なものだった。

 かなり古い作品になるので、パッケージで購入するには中古市場を漁るしかないが、FANZAにてダウンロード販売されている。興味のある方はぜひ挑戦してほしい。しかし、ゲームを攻略している時間がないユーザーにはエロアニメ版を観る手がある。グリーンバニーから全2話でリリースされているのだが、これもなかなかの名作である。

 以下があらすじだ。

 過去に体験した家庭内暴力(DV)がトラウマになり、自分の殻に閉じこもっている主人公、緒方圭。そんな彼は、インターネット上で偽りの自分“A.W”を演じながらチャットやメールする毎日を送っていた。

 そんな毎日を送るうちに、EVEという少女とネット上で知り合い、惹かれていく。一方、現実の世界ではクラスで出会った独特のテンポで屈託なく話す愛らしい少女・奈川碧が気になっていた。あるとき、ひょんなことからEVEが奈川碧と発覚する。しかし、主人公は彼女に自分がA.Wだということは告げずにいた。

 ネットの中の碧は主人公の発言ひとつひとつに感動し、尊敬してくれた。「AWさんはすごい人だ」と。しかし、ネット上の人格は別であり、現実の自分はどうしようもない人間なのだと、主人公は現実と虚構の乖離に苦しむ。

 ある日、主人公に中学生の頃から密かに想いを寄せていた澤永美紀と奈川碧で夏祭りに行くことになった。しかし当日になって碧は行くのをキャンセルしてしまう。主人公は複雑な思いをしながらも、美紀とふたりだけで出かける。花火を観るために人ごみのない場所に移動した際、ふとしたことからDVのPTSDが発症し、錯乱した主人公は美紀を押し倒し、その場で乱暴してしまう。

 乱暴されて失意の美紀、乱暴したことをひどく後悔する主人公、何も知らない碧。いびつな三角関係ができあがってしまう。そこに追い打ちをかけるように碧が転校してしまうことを主人公は知る。

 そんな中、妹の友人から一日だけ彼氏のふりをしてほしいという依頼を受ける。妹の友人もまた、主人公に密かに想いをよせていた。

 妹の友人と主人公が一緒にいるとき、運悪く碧に目撃されてしまう。ただただ気まずさだけが主人公を襲う。一体自分は何をしているのか、と。主人公は引っ越しまでに、碧に思いを告げることができるのか――。

 最初に伝えておくと、エロアニメ版『ピュアメール』はストーリー重視作品だ。各巻でHシーンは2回ずつしかない。物語の演出上、必要なHシーンしか描いていないのであるが、これこそがエロアニメ版のクオリティを上げたと言っていい。

 主人公は幼少期のDVでトラウマを抱えながら生きている。そのため現実世界では他人に上手く心を開くことができないでいたのだが、インターネットでは心を開くことができた。インターネットの中であれば、女性とも積極的に会話をすることができ、人生の相談に乗ることまでできるのだ。

 しかし、現実と虚構の対比に主人公はひどく苦しんでしまう。インターネットの向こうの人間に、至極まっとうな正論を語る一方で、「本当の自分はこんなんじゃない、クズなんだ」と現実世界の自分を卑下する。現実世界では、弱みを握られることである女生徒にオナペットのような扱いを受け、彼女に命じるままの性玩具でしかない。こんなえらそうなことを言える人間ではないのだ、と。

 実はこの弱みを握る女生徒は、原作ではサブキャラであった。しかしアニメ版では諸悪の根源のように描かれる。この変更のおかげで主人公の葛藤や苦しみを感じやすくなったと言えよう。

 そしてなんと言っても、あらすじにもあるPTSDからの暴行事件に苦しむ主人公の描写がすばらしい。

 レイプという最も非人道的な行為をしてしまった最低な自分、そして事件を何も知らず純粋無垢な碧。ネットの世界だけでなく、現実世界にも起きる対比がさらに主人公を苦しめる。もはや自分は現実世界にも、インターネットの世界に居場所はないのではないか。精神的に追い込まれていく主人公が最終的にどうなってしまうのか。周囲の人間を巻き込み、どう着地するのか。衝撃のラストに言葉が出ないだろう。

 少ないエロシーンについては、ひとつサプライズがある。エロゲー版でのトゥルールートではHシーンがなかったのだが、アニメ版ではメインヒロインとのシーンがしっかりと存在する。これは嬉しい誤算だろう。ちなみに、原作ではかなりとっつきにくいキャラとして描かれていた妹・藍がアニメ版ではおちついたキャラに変更されている。これもある意味サプライズと言えなくもない。

 内容が全くピュアではないためタイトル詐欺な面はあるが、オーバーフローの隠れた名作は、エロアニメ版でもすばらしい作品なので、ぜひともチェックしよう。
(文=穴リスト猫)

【視聴はこちらから!】
■『ピュアメール 第1話
■『ピュアメール 第2話
■『ピュアメール Complete Edition

PureMail -ピュアメール-

PureMail -ピュアメール-

『School Days』と同じ時間軸の物語だよ。

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