アニメのジンクスも何のその! 生徒も教師も熱くてカッコイイ!『亜人ちゃんは語りたい』第4話「高橋鉄男は守りたい」レビュー!

 アニメのジンクスも何のその! 生徒も教師も熱くてカッコイイ!『亜人ちゃんは語りたい』第4話「高橋鉄男は守りたい」レビュー!の画像1TVアニメ『亜人ちゃんは語りたい』公式サイトより

 TVアニメ放送の第4話といえば、「作画のクオリティが落ちがち」と言われている。ファンを掴むため序盤3話に力を入れたツケが4話ぐらいから出てくるという、ジンクスとうか、言い伝えというか、“アニメあるある”だ。本作も過去3回に比べ、明らかに動きが少なく色味も単調で、作画の効率を最優先したと思しき構図もチラホラ。だがご安心を。内容はこれまで以上にシリアスだし、ギャグもちゃんと面白いぞ!

 前回終盤、亜人「雪女」の生徒・雪は、クラスメイトが自分の陰口を叩いているのを聴いて消沈。周囲に冷気を振り撒くほど悩み苦しむが、そんな時に現れたのが生物教師・高橋鉄男である。「私がデミだからですか!」と悲しむ雪を抱きしめる鉄男。流れ出ると速攻で氷になる雪の涙に驚きつつも、鉄男は「亜人ちゃんを守らねば!」と心に誓うのだった――。

 食堂でサキュバス女教師・早紀絵と、雪について話し合う鉄男。「陰口を言う子はどこにでもいる」「陰口に傷付く子は亜人でなくてもいる。これは生徒全般の問題のように見える」「だが雪のガチ凹みぶりは彼女が亜人であることに関係している」と、論理的な議論を重ねる。

 このシーン、当初は早紀絵が鉄男と物理的に距離を置いていることが、真横からの引きのアングルで強調されている。前回のエピソードで描かれた「早紀絵が男性に近づかないようにしている」ことを踏まえているわけだ。

 が、議論が白熱すると彼女は徐々に、そして途中から一気に鉄男に接近。鉄男に淡い恋心を抱いていること、近付きたがっていることが、距離だけで表現されているのだ。そして近付きすぎた早紀絵の巨乳が目の前でプルプル揺れて戸惑う鉄男! よく言えばマジメな、悪く言えば退屈な話し合いを、「キャラの心理を踏まえた構図」で注目させつつ「早紀絵さんの暴走」で笑わせて「お色気」で落とす――作り手の工夫に拍手だ!

 一方、廊下を歩いているところを、突如として現れたヴァンパイア生徒・ひかりに捕まり連行される雪。ひかりはトイレの前で雪に待つように言うと、トイレに突撃。陰口を叩いていた女子生徒2名にお説教する。正直、ここからのやり取りは、内容だけなら道徳の授業もしくは学級会。陰口生徒2名がわりと弱気かつ素直なこともあり、ご都合主義な印象を抱かなくもない。が、亜人とは言え赤の他人である雪のために泣いてキレるひかりはカッコイイ! 「どうしてそこまで」と問う陰口生徒2 名に、ひかりは「約束したから」と意味深発言。インサートから察するに双子の妹・ひまりが絡んでいるらしいが……。

 ここで冒頭から降っていた雨が止み、雲が晴れ、暗かった学校に光が差す。はい、キャラの心理とその変化を背景で暗示するベタな演習ですね! でもいいんです! ひかりが健気だから! 
 帰宅したひかりはひまりに無言で膝枕。どうやら陰口生徒との口論に自分もショックを受けたらしい。普段はおちゃらけた子だけど本当は繊細なんだな、とわかるシーンだ。何かあったんだろうなーと気になりつつ、あえて聞かないひまり。二人の優しさや関係にグッと来たところで前半は幕。

 後半。放課後、「講義室」とでも呼ぶべきデカい教室に集まった亜人生徒・ひかり、雪、デュラハンの京子。集めたのは鉄男、そして早紀絵だ。生徒たちに「これだけ集まったのも何かの縁だから」と、亜人同士で交流することを提案する鉄男に、一同はうなずく。ここで「私にも遠慮なく相談してね!!!」と空回ったテンションの早紀絵が可愛い。鉄男の前でイイカッコしたいんだろうなー。

 集まりのシメに「何か質問は?」と訊く鉄男。手を挙げたのはひかりだった。何事かと問う鉄男にひかりは、
「私まだ先生にハグしてもらってません!!」
 と仰天発言。「京子も雪もハグしてもらってるのにズルい!」ということらしい。驚く鉄男に走り寄り、自分からハグするひかり。慌てつつも優しくハグし返す鉄男は、続いて手を挙げた京子(の頭)もハグ。ここでガマンしきれなくなった早紀絵が「私も!」と暴走するが、立派な大人である鉄男は「いえ先生はさすがに」と拒否。偉いぞ鉄男! 拒否られてガチ凹みする早紀絵さんが気の毒だけどな!   

「流れ」でハグしてもらって喜ぶ雪。ここでさらに「流れ」で京子(の胴体)もハグすることになった鉄男だが、いざ実行すると京子の巨乳が身体に触れて思わず興奮! 慌てて教室から脱走! 前半と同じく、シリアス展開を「早紀絵さんの暴走」→「お色気」で落とす繰り返す展開に天晴れだ。

 放課後。校門前でバッタリ遭遇する鉄男とあかりの妹・ひまり。「この人をまだ信用できていない」と警戒するひまりに、鉄男はひかりのヴァンパイアの性質について問い質す。ヴァンパイアはニンニクが嫌いだが、ひかりは「においキッツイの好き」らしい。「ヴァンパイアらしくない姉を変だと思っているのか?」「亜人の姉には興味があっても、姉の人間性には興味がないのか?」と食ってかかるひまり。鉄男は彼女の剣幕に圧されつつ、自分の意見を語る。

「亜人の性質だけ見ていると個性を見失う、人間性だけ見ていると悩みの原因にたどり着けない。どちらも大切だ。バランスが大切なんだ」

 この発言、今回怒ったトラブルや議論を総括するだけでなく、さまざまな読み解きが可能だ。最も素直に考えれば「亜人=ハンディキャップの象徴」だろうか。身体とその性質は内面――人間性と切り離せない、だからどちらも考慮して相手と接しなければならない。堅苦しい文章になって読者諸氏には大変恐縮だが、本作が日常コメディの体裁を保ちながら、リアルな問題を扱っていることは事実なのでご容赦いただきたい。

 とはいえこの会話中、2人が歩いているスロープがあまりに急勾配で苦笑してしまう。どう見ても45°くらいあるぞ! 絶対上り下りできないぞ! これは作り手が意図していない笑いどころだろうが、深刻なシーンをいい具合にホンワカさせている。

 鉄男の言葉にこれまでの不信感が消え、尊敬の念を抱くひまり。だが直後にひかりから「先生にハグしてもらった」とチャットで知らされ激怒。「この屁理屈亜人好き人間!」と罵倒して逃げ去る。鉄男はショックを受けつつも「それは否定しないが…」と自己批判するのだった。
 帰宅後、ひまりに問い詰められたひかりは「早く帰ってきて欲しかったから」と連絡した理由を説明。ひかりの妹好きで寂しがりな側面が明かされたところで後半は終了する。

 マジメな話し合いや説教臭い会話シーンが多いながらも、(主に早紀絵先生が)面白がらせてくれるので、楽しく観賞できた第4話。次回は雪が主役だが、どうやらさらにシリアスな内容になりそうです!!
(文/JUP-ON STUDIO)

亜人(デミ)ちゃんは語りたい 2

亜人(デミ)ちゃんは語りたい 2

ハーレムになりつつあるけど、これは良いハーレム

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