『ちーこばすけっと！』(米白粕)　一瞬表紙に騙された気になる非恋愛シチュの日常系　

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『ちーこばすけっと!（1）』（メディアファクトリー）

　米白粕『ちーこばすけっと!』（メディアファクトリー）。

　この作品。表紙と内容のあまりの乖離に、読者を唖然とさせます。そうやって、読者を茫然自失にさせておいて、物語の世界に引きずり込むという仕様なのでしょうか。

　米白粕氏は、これまでイラストレーターとして、とても評価されてきた人物です。その初の単行本が、こちらになるわけです。

　表紙を見ると、いつもの米白粕氏が描く超絶可愛い少女の姿が。この少女の、どんな物語が綴られていくことになるのか。やっぱり、恋物語なんだろうか？　オビには、こんな文章が記されています。

　文系でバスケ部の女の子。
　誰よりも小さな体で戦う
　その姿に、僕は恋をした。

　なんか、泣きゲーとか、深夜アニメを念頭に置いたストーリー重視のエロゲーのリリースにあるような一文。これは、期待が高鳴りますが、そのオビには小さな文字でこんなことが……。

　※注※
　この漫画に男性は一切登場しません。

　え？　え？　え？

　いったい、なにがどうなってるの？

　百合作品なんだろうか……？　でも「僕」って書いてあるよねえ……？？

　はい、この作品は百合でもなんでもありません。まず、ギャグ漫画です。四コマのギャグマンガです。

　ヒロインである、深見ちい子が、高校では運動部には入らないと決めていたのに、親友に押し切られてバスケ部に入ってしまうというギャグマンガです。

　しかも、出落ち感がが半端ない！

　そう、日常系ギャグ四コマの不文律（？）に従って、あんまり部活はしないのです。一応、練習したりしているシーンもそれなりに多いのですが、みんなで遊んでいる回のほうが多いです。

　放課後にキャッキャウフフをしたり、メイド喫茶に遊びにいったり……いったい、バスケ部にしようと思った理由はなんだったのか。もしや、この先超展開で、突然スポ根になったりするのだろうか？

　そう思って読んでいたら、あとがきで納得。作者が、中高はバスケ部に所属していたからみたいです。なるほど、創作とはいえ、女子が集まるバスケ部では、こんなかしましくて楽しい日常が存在しているということか！

　ともかく、練習もそこそこで日常の楽しさを描いてくれるサービス精神の強いこの作品。

　表紙に「騙された！」なんて思わずに、読んでみることをオススメしますよ。
（文＝大居候）