『NERVE/ナーヴ』の世界で神経質な現代社会をバーチャル化!新年は危険なゲームで運試しに挑戦!

『NERVE/ナーヴ』の世界で神経質な現代社会をバーチャル化!新年は危険なゲームで運試しに挑戦!の画像1スマホを使って現実世界をゲーム化してしまう『NERVE』。退屈だった日常生活が刺激に満ちて、キラキラと輝き始める。

 VR元年と呼ばれた2016年。仮想現実と映画は相性がよく、これまでにも『マトリックス』(99年)や『サマーウォーズ』(09年)など仮想現実を題材にした様々なヒット作が生まれている。電脳化が進んだ未来社会を描いたハリウッド実写版『ゴースト・イン・ザ・シェル』も日本での公開が4月7日(金)に決まり、2017年はますます注目度が高まりそう。そんな中、スマホユーザーにとって見逃せない映画が『NERVE/ナーヴ 世界で一番危険なゲーム』。“ポケモンGO”を楽しむ感覚で、現実世界を別次元へと変えてしまうサスペンスドラマだ。上映時間96分間、観客を退屈させない内容となっている。

 バーチャル空間を楽しむ仮想現実とは異なり、『NERVE』では自分のいる現実世界が自前のスマホによってゲーム化されていく。仮想現実ならぬ、現実の仮想化だ。それまで心を閉ざし気味だった主人公が、ゲームをきっかけに現実世界で大きく変身を遂げていく姿が見どころとなっている。

 高校生のヴィー(エマ・ロバーツ)は、自分に自信が持てずにいる奥手な女の子。派手好きな親友・シドニー(エミリー・ミード)からオンラインゲーム「NERVE」がすごく面白いと勧められる。「NERVE」は課金制の多人数参加型ゲームで、挑戦者としてエントリーした者は視聴者が考えたミッションをクリアすることで賞金を得て、ステージを上がっていくというもの。自分が挑戦者になるなんて考えもしなかったヴィーだったが、高校卒業後の進路を決められず、また想いを寄せているアメフト部の人気者にきちんとコクることもできない自分の気弱さにほとほと嫌気が差し、度胸試しのつもりで「NERVE」にエントリーしてしまう。

『NERVE/ナーヴ』の世界で神経質な現代社会をバーチャル化!新年は危険なゲームで運試しに挑戦!の画像2視聴者からの指示で、裸になるヴィー(エマ・ロバーツ)とイワン(デイヴ・フランコ)。ゲームだと割り切れば、大胆になれちゃう。

「NERVE」の挑戦者となったヴィーに与えられた最初のミッションは、【ダイナーで知らない男とキスすること】。意を決したヴィーはダイナーに一人で佇んでいた青年・イアン(デイヴ・フランコ)へのキスに成功。この様子はヴィーのスマホを通じてネット中継されており、ファーストミッションをクリアしたヴィーは賞金と視聴者からの声援を浴び、今まで感じたことのない高揚感を覚える。実はイアンも「NERVE」の挑戦者で、2人はタッグを組んで次々と難易度が上がっていくミッションに挑む。それまで地味で冴えない存在だったヴィーが、危険なミッションを体当たりでクリアしていくことで、イケてる女の子としてキラキラと輝き始める。「誰でも15分間はスターになれる」とはアンディ・ウォーホルが残した名言。そんな言葉が相応しい、ネットセレブとなったヴィーにとって最高に刺激的な一夜が過ぎていく。

 知らない相手から電話でミッションを与えられ、クリアすると高額の報酬がもらえるというプロットは、タイ映画『レベル・サーティーン』(06年)とほぼ同じ。『レベル・サーティーン』ではツールがまだ携帯電話だったが、『NERVE』ではスマホへとバージョンアップ。また、冴えない男性サラリーマンが主人公だった『レベル・サーティーン』では【ウ●コを完食せよ】といった強烈グロ系ミッションが用意されていたが、『NERVE』では【目隠しをしてバイクで疾走】といった尾崎豊系“危険な青春”ミッションへとシフトチェンジ。まぁ、ここらへんはハリウッド映画らしいアレンジですな。

『NERVE/ナーヴ』の世界で神経質な現代社会をバーチャル化!新年は危険なゲームで運試しに挑戦!の画像3目隠しをしてバイクで疾走せよ。ミルグラム実験のように、どんどん危険度が高まっていくが、もう後戻りできない。

 下流人生を歩んでいた主人公たちが危険なゲームに身を投じる作品は、藤原竜也と香川照之が顔面バトルを繰り広げた『カイジ 人生逆転ゲーム』(09年)、ゲテモノ喰いがお好きな方にお勧めな『ザ・スリル』(13年)、緊迫のロシアンルーレットを題材にした『13/ザメッティ』(07年)など、世界各国で今世紀以降いろいろと作られている。それらの作品では金欠状態の主人公がお金欲しさで違法なゲームに参加することになるが、『NERVE』の主人公は自己承認と刺激を求めてゲームに参加するという動機が異なっているところがポイント。ヴィー役のエマ・ロバーツはジュリア・ロバーツの姪っ子、デイヴ・フランコはジェームズ・フランコの実弟と身内の七光りで芸能界入りした主演の2人だが、本作ではなかなかの熱演ぶりを見せている。七光りだけで生き残れるほど、ハリウッドの世界もあまくはないようだ。

 ゲーム中、ヴィーとイワンはブランドショップでの万引きまがいの行動やストリップ、さらにはバイクでの危険走行など、違法行為の数々をやらかしてネット上で人気者になっていく。バカッターや過激ユーチューバーを思わせる展開だが、執拗にモラルやマナーを求めたがる息苦しい現代社会への反発心、同調圧力からの脱出願望がそこには感じられる。ただし、視聴者の考えるミッションはどんどん過激になり、挑戦者たちを追い詰めていく。ゲームを勝ち進んでいったヴィーたちは、やがて「NERVE」というゲームを考案した主宰者と対峙することに。暴走化したゲーム「NERVE」を、ヴィーは止めることができるだろうか。

 学校や職場でも、セルフプロデュースによってキャラクター化された自分を演じることが日常となっているスマホネイティヴ世代。彼らにとって『NERVE』は共感度が高い作品だろう。
(文=長野辰次)

『NERVE/ナーヴ』の世界で神経質な現代社会をバーチャル化!新年は危険なゲームで運試しに挑戦!の画像4

『NERVE/ナーヴ 世界で一番危険なゲーム』
原作/ジーン・ライアン 監督/ヘンリー・ジュースト、アリエル・シュルマン 脚本/ジェシカ・シャーザー 音楽/ロブ・シモンセン
出演/エマ・ロバーツ、デイヴ・フランコ、ジュリエット・ルイス
配給/プレシディオ 1月6日(金)よりTOHOシネマズシャンテ、TOHOシネマズ六本木ヒルズ、TOHOシネマズ新宿ほか全国ロードショー
(c)2016 LIONSGATE ENTERTAINMENT INC.ALL RIGHTS RESERVED.
http://www.start-nerve.jp

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