『地獄大図鑑』忘れていたトラウマがよみがえる…地獄ってこんな怖いところなのだ! 

 刊行前から話題になっていた『地獄大図鑑』(復刊ドットコム)は、かつて立風書房が発行した子ども向け書籍の復刻版。原書の刊行は1975年だが、図書館などで一度は目にしたことがあるという人は多いのではなかろうか。

 この書籍は、立風書房が「ジャガーバックス」レーベルで刊行したシリーズの一冊なのだが、このレーベル。子どもの頃には、家に置いておくと呪われるんじゃないか、本そのものに毒が染みこんでいる気がして、恐る恐る触れていた人もいるだろう。なにせ、この『地獄大図鑑』のほか『日本妖怪図鑑』『世界妖怪図鑑』など強烈なタイトルが並んでいたのである。

 そんな中でも『地獄大図鑑』は、とりわけ子どもたちにトラウマを植え付けた一冊である。

 挿絵を描いているのが、石原豪人、柳柊二、好美のぼる、斉藤和明という面々である。ページをめくるごとに、これでもかという地獄の恐怖を目に焼き付けてくれるのだ。

 ここでは、どんな罪を犯せばどの地獄に堕ち、そこには、どのような刑罰が待っているかを、子どもにもわかりやすく丁寧に解説してくれる。

 例えば、動物をいじめたりした者が堕ちる等活地獄では、罪人はお互いに憎み合い、出会うとお互いに傷つけあい骨になるまで戦い続けるのだという。もちろん、地獄であるから死ねるはずもなく、涼しい風が吹くとすぐに元の身体に戻り、また殺し合うのである。

 また、ウソをついた者が堕ちる大叫喚地獄では、鬼に舌を抜かれるのだが、またすぐに生えてきて舌を抜かれる苦しみを繰り返すのだという。

 そんな恐ろしい地獄の最下層にある阿鼻地獄は、たどり着くまでも、真っ逆さまに落ちて二千年もかかる場所にあるという。その地獄で味わう苦しみは、すべての地獄の苦しみを合わせても、千分の一にしかならない恐ろしいものなのである。

 そんな恐ろしい地獄の姿を、次々と図解してくれるのだから「悪事は働かないようにしよう」と、誰もが思うはずだ。

 トラウマを植え付ける一方で、この本は「どうして、こうなった」と考えさせるページも。それが巻末に収録された「最新版地獄案内」である。ここでは、地獄めぐりをする時の「装備」が克明に解説されているのである。

 つまりは、旅行ガイドのようなのだが、アクセス方法はどこにも書いていない……。

 そして、装備の一つとして「地獄の沙汰も金次第」として、お金を持っていくことを勧めていたり……。

 イラストのすさまじさで子どもを怖がらせつつも、突如として笑いに持っていくセンス。今どき、こんな台割りを組んだらNGを喰らうのは間違いないだろう。

 ともあれ、いまだに子どもが読めばトラウマものの恐怖を感じるのは事実。子どもを叱る時のために、一家に一冊備えておいてもよいかも。

 この本、復刻版で少部数ゆえにか定価は4,250円+税と決して安くはない。でも、それだけの価値がある本なのは間違いないだろう。もう一度、本書を読み直して自分が地獄行きにならないか自省したいところである。
(文=是枝了以)

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