制作技術の進歩、ファンの意識の向上と宣伝におけるSNSの存在感……『君の名は。』『聲の形』『この世界の片隅に』国産劇場アニメ大躍進の2016年を振り返る

制作技術の進歩、ファンの意識の向上と宣伝におけるSNSの存在感……『君の名は。』『聲の形』『この世界の片隅に』国産劇場アニメ大躍進の2016年を振り返るの画像1左:『君の名は。』、右上:『聲の形』、右下:『この世界の片隅に』、各公式サイトより

 2016年のアニメーション映画を振り返る際、話題の筆頭となるのは『君の名は。』の大ヒットである。8月26日に公開されて以降、現在までに興収200億円を突破する快挙。これによって、アニメ映画といえばスタジオジブリ、最近では細田守、原恵一作品あたりをチェックしておけばよいとのん気に構えていた映画マスコミも大慌て。「新海誠って一体誰?」みたいな会話が試写室のおじさんおばさんたちの間でしばし交わされているのをよく盗み聞きしたものだ。(これとまったく同じ状況が『シン・ゴジラ』公開後も起きていた。「庵野秀明って誰?」「エヴァって面白いの?」みたいな、今更ながらの無知無能な会話が試写室の中で……)

 しかし、こうした事態は日頃イベント上映作品も含めたアニメ映画を見続けてきた者としてはある程度予想できるものであった。ここ10年で劇場公開されるアニメ映画は年間80本前後、多い年は100本ほどに急増しているが、その大半は平日の昼間でも一定数の客数を確保し続けており、また総じて質的にもクオリティが高く、アニメだ実写だといった偏見のない今の若い世代は、こういったものをごくごく普通に見続けているのだ。

 特に、海の向こうのハリウッド映画に対してコンプレックスを抱き続けては、自滅するかのようなエンタメ作品ばかりを連打する国産実写映画に比べ、国産アニメ映画はとうの昔にそれらを凌駕し、ハリウッドのレベルにまで到達していた。そういった状況が16年、『君の名は。』の登場によってついに爆発した。そう捉えたい。

 実際、16年上半期のアニメ映画は一見地味で静かに佇んでいるようではあったが、実はその中に3月5日公開の『映画ドラえもん 新・のび太の日本誕生』が興収40億円を突破。これは声優が一新された新シリーズにおける最高記録である。

 4月公開のTV&映画シリーズ20周年記念作品『劇場版名探偵コナン 純黒の悪夢(ナイトメア)』もシリーズ最高記録となる興収60億円を突破。

 また、16年下半期の第1弾ともいうべき7月23日に公開された『ONE PIECE FILM GOLD』も興収50億円を突破。前作『ONE PIECE FILM Z』(12)の68.7億円には及ばなかったものの大健闘というか、やはりあっぱれな数字ではある。

 これらはいずれも長きに渡って展開してきた安定したシリーズ作品ではあるが、毎回のクオリティも保持されており、それゆえにファンは幼いころからアニメ映画の洗礼を受け、大人になっても劇場に通い続けるといった現象が起きている。特に『名探偵コナン』と『ONE PIECE』は、10代はもとより20代から30代にかけての客層が主流となって久しい。

制作技術の進歩、ファンの意識の向上と宣伝におけるSNSの存在感……『君の名は。』『聲の形』『この世界の片隅に』国産劇場アニメ大躍進の2016年を振り返るの画像2アニメ『ガールズ&パンツァー』公式サイトより

 また15年11月に当初77館で公開されて以来、上映館を増やし、爆音上映や4DX上映などでも息を吐き、ついには1年に渡るロングラン公開となり(しかも今またリバイバル公開中!)、興収24億円を突破することになった『劇場版ガールズ&パンツァー』の存在も見逃せないところである。

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