【実写映画レビュー】本作を「(笑)」付きでディスることこそ、SWファンの礼儀 『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』

 実際、オタク気質なオジサンたちにとって、本作は酒の肴要素がテンコ盛りだ。前身黒づくめの帝国軍機動歩兵「デス・トルーパー」は、押井守監督の『ケルベロス-地獄の番犬』のプロテクトギアを彷彿とさせる。『エピソード5』ほかで登場する四足歩行兵器「AT-AT」の前身メカ「AT-ACT」とのコンバット戦は、PS4あたりのオープンワールド系FPSっぽい。主人公たちのお供をするドロイド・K-2SOも、コメディリリーフとして先代C-3POの影を踏まないようけなげに頑張っている。いやはや、酒が進む、進む。

 なかでも最高に笑える……もとい、カッコイイのが、座頭市とランボーのスペックをあわせ持つ盲目のバトル僧侶、チアルート・イムウェだ。演じるのは、世界最高峰の美しい殺陣を披露する香港映画界の至宝、ドニー・イェン。さすがに殺陣の完成度は文句なしだが、念仏のように「フォースは我と共に 我はフォースと共に」を唱えるとアーラ不思議、敵の弾が当たらないって……なんだそりゃ。突っ込みがてら、ハイボールもう1杯!

1612_rogue_one_2.jpg(C)2016 Lucasfilm Ltd. All Rights Reserved.

 無論、SWシリーズならではの小ネタ詰め合わせもぬかりない。『エピソード4』に登場したモス・アイズリーの酒場で右腕を斬り落とされた奴(ポンダ・バーバ)が登場しているとか、おなじみのセリフ「嫌な予感がする」を全部言わせてもらえないK-2SOとか、帝国軍のターキン総督(演じた俳優は故人)が復活しているとか、「デス・スター」の設計図の3Dワイヤーフレームがちゃんと『エピソード4』どおりのチープな代物である、とか。
 しかし小ネタは小ネタ。物語の本筋には関係ない。ぶっちゃけ、いまいちパンチに欠ける展開だなあ……と思いながら終盤を迎えると、そのモヤモヤは一気に晴れる。誤解を恐れず言うなら、この映画は「『エピソード4』に直結するラスト10数分のカタルシスのために、その前の約2時間を耐え忍ぶ」作品なのだ。
 そう、我々はラスト10数分でダース・ベイダー無双に心踊らされ、“例のアノ人”の登場に驚愕する。ふたりともSW前期三部作世界を代表する顔だ。

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