『猫はよみがえる』グロも凄いけどエロも凄い! ただ、先行きが不透明すぎるエログロ全年齢作品

2016.12.19

 このところ、やたらと目にする講談社のエログロ系作品。『食糧人類-Starving Anonymous-』だとか『生贄投票』だとか、タイトルはわんさかと増えているのである。

 今回、単行本第1巻が発売になった高橋翔馬(漫画)・三石メガネ(原案)『猫はよみがえる』も、そのひとつ。この作品、物語の展開はホラーの王道展開である。何者かの手によって脱出できなくなった学園の中で、生徒たちが次々と殺されていくというものである。

 物語の舞台となる才禮学園は、優秀な生徒だけを集めた全寮制の中高一貫校という設定。だが、もう冒頭から惨劇は起きていた。少し前に、クラスの男子生徒が一年生の女子生徒の目玉をえぐり取って殺す事件が起こっていたのである。そして、逮捕された男子生徒が自殺した日、教師から急遽、放課後にクラス全員のカウンセリングが行われることが告げられた。

 こうして惨劇が始まる。それまで、正気だった生徒が急に発狂して、ほかの生徒に襲いかかる。それも猟奇的な殺し方だけじゃあない。レイプまでもが描かれていく。とにかく、なんだかわからんが、血塗れの展開が続くのである。

 間に挿入される教師の言葉などから、この学園は実は実験施設であり、なんらかの実験の失敗によって惨劇が起こっているのではないかということも匂わされる。

 まさに、謎が謎を呼ぶ展開!

 ……そのハズなんだか、なんだかオカシイ。

 読んでいるうちに、ホントに謎が謎を呼んでいるのか疑ってしまうのである。

 それは、なぜか! 連載誌が「eヤングマガジン」だからである。「ヤングマガジン」には、かつて望月峯太郎『ドラゴンヘッド』という前科がある。この作品、1994年の連載開始以来、大ヒットした。その謎多き展開は、様々な論争を引き起こし、読んでおかなくてはならない作品というような地位になった。

 けれども、その最終回を覚えているだろうか。

 単行本で全10巻、5年あまりの連載の果てに得た感想は「結局、なんだったんだ……」の一言に尽きた。いわば「大山鳴動して鼠一匹」。すごく中身のある、謎が謎を呼ぶ作品かと思わせておいて、何もなかったのである。

 そうした作品を経験しているがため、ちゃんとラストまで展開を練って連載をしているのか、疑う気持ちばかりが芽生えてしまう。

 とりわけ、この作品はエログロ要素が特に強い。レイプシーンとか、エロシーンにやたらと力を入れている感がある。そもそも、最初の犠牲者が中一女子とか、作者は絶対に興奮しながら描いているのでないかと確信した。

 ともあれ、隠しきれない「来週の展開は来週考えよう」感。どこまで、エログロの勢いだけで引っ張ることができるかが、楽しみである。
(文=是枝了以)

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