「となりのヤングジャンプ」から「週刊ヤングジャンプ」(ともに集英社)へと移籍して完結した、大竹利朋『もぐささん』の新編『もぐささんは食欲と闘う』の単行本第1巻が発売になりました。
この作品、異常に食い意地の張った女子・百草みのりと、そんな彼女に惹かれていく男子・小口くんとの関係を軸に展開するラブコメ。今回、新編では無事に高校を卒業、もぐささんが上京しての大学編として始まります。
なので、ここから読んでも、問題なく物語の世界に入っていくことも可能です。
ちなみに、小口くんは京都で料理人の修行をすることになったので、けっこうな遠距離恋愛。こちらも、どうなるのか心配であります。
前作を未読の人は驚くかも知れませんが、このもぐささん、驚くほど食い意地の張った女子です。喰らう系マンガの中で食い意地が張った人物として思い浮かぶのが、まず『孤独のグルメ』(扶桑社)の井之頭五郎。深夜のコンビニで2,000円以上も夜食を買ってしまったり、注文しすぎて食べきれないというエピソードもしばしばあったのを、誰もがよく覚えているでしょう。
しかし、もぐささんは五郎ちゃんを遙かに超えています。何しろ、宇都宮からの上京を前に、お母さんの手料理をこれでもかと腹に詰め込んだというのに、まだ足りない。新幹線で隣の席の親子連れの食べる駅弁が気になってしようがない!
ようは、もぐささんは底なしなんです。お腹の中に、なにか虫でも棲んでいるんじゃないかと思うほど、食べても食べても食欲は尽きません。自制はしようと心がけていたはずなのに、東京駅に降りた途端に理性は吹き飛びます。気がつけば両手いっぱいに、駅で売っている美味しいお菓子の数々が……。あからさまにヤバいです! ここまで食べて、まったく太らないのは羨ましい限りですけれど、財布はヤバイ!
そんなわけで、もぐささんは1日3食で間食をしないというルールを決めます。ただし、その3食は、どれだけ食べてもよし。つまり、自分の食い意地の汚さを抑えようというわけです。
ところが、大学の学食で食事をしようとすれば、周囲の目もあってなかなか、好きに食べるわけにもいきません。前作でも描かれていましたが、時折理性が飛んでしまうというのに、普段は大食らいな自分が恥ずかしくってしかたない。そんなアンバランスさが、もぐささんの魅力でもあるのです。
さて、大学といえば、当然サークルにも入ります。なんと、参加したグルメサークルの幹事長は超絶イケメン。ところが、イケメンのくせに超絶悪食という欠点が。なにせ、新歓コンパで振る舞ったのは、甘いマシュマロとピーナッツクリームをベースに、コーヒーゼリーと納豆をトッピングしたピザ。おまけに、この幹事長が好きな食べ物は、唐揚げにソフトクリームをまぶしたもの……。
「新しい味を見つけた時はおもしろい」というイケメンに、もぐささんは、とことん賛同しまくります。いやいや、新しい味の探求は楽しくても、これはやっては、あかんヤツ……。大食いバトルマンガの傑作『喰いしん坊!』(日本文芸社)なら「外道喰いはやめろ!」とストップがかかりそうなところでしょう。
食い意地のためには、全肯定になってしまう、もぐささんのキャンパスライフは、どうなることやら?
(文=大居候)
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