映像から会話を読み取った「HAL9000」が現実に!? グーグルの“読唇術AI”が登場！

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■『2001年宇宙の旅』のHAL9000が現実に

　今回のプロジェクトには先行した研究があり、同じくオックスフォード大学の研究チームがひと足早く11月初旬に、ディープラーニングによって“読唇術”をマスターした人工知能「LipNet」を発表している。

“読唇術”実験においてこのLipNetは、93.4％という驚異的な正答率を誇っているのだが（人間の平均は52.3％）、学習においても実験においても、使われる文章と単語はきわめて限定的で、フリートークは皆無であり専門用語の使用はわずか51語である。したがって、総合的な“読唇術”のレベルは今回発表したAIのほうが数段階高いものであるということだ。

　DeepMindの研究者によれば、今後さらに“読唇術”の精度を高めていくことで、聴覚障がいの方々を支援する技術の開発や、昔のサイレントフィルムや音声なしのフィルム映像に登場する人々の“声”を再現したり、会話ボットのSiriやAlexaに搭載して声を出さない会話を可能にしたりと、いろいろな応用が考えられるということだ。

　だがちょっと考えてみて欲しい。往年のSFファンにとっての名作『2001年宇宙の旅』（1968年）に登場する人工知能の「HAL9000」は、監視カメラに写った宇宙飛行士たちの会話をまさにこの“読唇術”で解読し、彼らの計画を見破っている。したがって、この技術の応用もまずは監視目的での活用が最優先なのかもしれない。なんらやましいところがない者にとってはどんどん進めて欲しい技術だが、そのうちに路上の立ち話の内容まで推察されてしまいそうで、複雑な気分をも招く話題だ。
（文／仲田しんじ）

【参考】
・The Verge
http://www.theverge.com/2016/11/24/13740798/google-deepmind-ai-lip-reading-tv

 
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