栗井茶氏の『メメメメメメメメメメンヘラぁ…』は、最新刊でついに10巻を迎えた『+チック姉さん』(スクウェア・エニックス)のスピンオフ作品。『+チック姉さん』で、何かと注目されているカップルである、佐々木と山田の恋模様ならぬメンヘラ模様を描く物語なのです。
常識人で誠実そうではあるけれど、見た目は小太り眼鏡で冴えない山田が恋したのは、毎日バス停で出会う女子高生。そんな彼女に玉砕覚悟で告白した山田は、メアドの交換に見事成功。勇気を出してよかったと歓喜に咽び泣くのでした。
でも、やっぱり恋愛というのは頂点に達すると、あとは下り坂なんですよね。だって、もしも付き合ったら、ああしたい、こうしたいという楽しい妄想ではなく、現実を突きつけられるのですから。
では、山田が突きつけられたのは何かといえば、予想だにしなかった現実でした。佐々木が送ってきたのは、読むのも大変な異常に長いメール。しかも、読んでいる最中に「なんで返信をくれないんですか」と怒りメール、そして、殺害予告まで送られてきます。それどころか、教えてもないのに部屋で待っているという状況。驚くほど可愛い佐々木だけれども、それ以上に驚くほどのメンヘラだったというわけです。
気がつけば、実家の住所や家族構成も知られているという恐ろしい状態になっているけれども、山田は逃げません。逃げられないのかも知れませんが、盗聴されても盗撮されても、2人の付き合いは続いています。まあ、佐々木の側にしてみれば、これは愛しているがゆえの暴走。すなわち、とてつもなく愛が深い女の子なのでしょう。
だいたいメンヘラっていうのは自己愛のほうが強いんですけど、ここまで愛してくれるなら、そりゃ嬉しいはずでしょう。もしかすると、勝手に婚姻届まで提出されているので、もはや観念しているのかも知れません。
いやでも、こんなにマジキチな佐々木ですが、やっぱり可愛いのです。それがわかるのは、デート中に佐々木の友人に出くわすエピソードです。ここで佐々木は、山田が免許も持っていないのに、「いつもは車デートをしている」とか、「東大を蹴って地元の大学を選んだ」とか、とにかく吹きまくっているのです。あからさまにヤバい女なんですけど、これが可愛く見えてしまうのは、読んでしまう我々の側がメンヘラ女が大好きだからに違いありません。
そう、もともとメンヘラ女にコロっといってしまう素養の持ち主であればこそ、この作品みたいな恋愛をしてみたいなあとまで、思ってしまうんですよね。
読めば読むほど、メンヘラ女とお付き合いしたくなってしまう本作。だいたい後で後悔するんだけど、メンヘラ女好きってやめられません。そんなことを考えた作品です。今後の恋模様にも期待!
(文=大居候)
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