「離れてても、心はずっとそばにいるから」 ヴィクトルと勇利の“別れ”を感じる『ユーリ!!! on ICE』第9話

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『ユーリ!!! on ICE』公式サイトより。

　現実のフィギュアスケートもグランプリファイナル間近と盛り上がりを見せていますが、アニメ『ユーリ!!! on ICE』（テレビ朝日系。以下、『ユーリ』）もアツい!!　11月30日放送の第9話は、“神回”と名高い第7話を超える“神回”ということで、爆死どころか号泣するファンが続出しています。

　第9話「勇利vsユーリ！おそロシア！！ロシア大会 フリースケーティング」の舞台は、前回に引き続きグランプリシリーズ最終戦・ロシア大会。前回のラストでは、ヴィクトル・ニキフォロフの愛犬・マッカチン（日本でお留守番中）が、まんじゅうを喉につまらせて危篤の事態に。そこでヴィクトルは、なんとかつての恩師・ヤコフに“勝生勇利の臨時コーチ”を依頼し、日本に戻ることに。勇利はヴィクトル抜きでフリーに挑むことになります。

　ヤコフについて、「困った時は、ハグすれば必ず助けてくれるよ」とヴィクトル。なんでしょう、とても小悪魔感がすごい発言！　そして、ヴィクトルは勇利を抱き、耳元で「離れてても、心はずっとそばにいるから」と言い残すのですが、この言葉は「離れずに側にいてよ！」（第7話参照）と言った勇利に対するアンサー的なものを少しばかり感じたり。

　勇利の行く末も気になりますが、今回のロシア大会は個性豊かすぎる各国のスケーターたちも見どころの一つ。妹への愛があふれすぎてる“シスコンスケーター”ミケーレ・クリスピーノは、妹に決別を告げられ憔悴しますが、彼も妹のために滑るのはこれで最後と決意。“真実の愛”を氷上で表現したのでした。ミケーレの演技にハートブレイク仲間（？）のギオルギーも「行き場を見失った愛が感じられる」と恍惚とした表情を浮かべていました。

　また、前回圧倒的な“CV.宮野真守”でファンを虜にした「JJ」ことジャン・ジャック・ルロワは、ビックマウスだけど実力は確か。また「俺はプリンスじゃない。すでにキングだ！」と名言が生まれていたけど……。「ユリオ」ことユーリ・プリセツキーとの絡みが多いJJ。ユリオは彼に一度も勝てておらず、目の敵にもしているので、2人の関係性も今後気になるところ。

　そして、母国での戦いに燃えるユリオは本当に美しかった！　JJと勇利に勝つために、フリーの構成を変えて、後半にジャンプ6本という大業に挑むことを自ら決めたユリオ。今季からシニアデビューした15歳と、若い選手が大きな挑戦をするの姿は見ていてワクワクするし、勝ちに貪欲なユリオは思わず応援したくなります。あと、試合前におじいちゃんから差し入れられた“カツ丼ピロシキ”を食べるユリオが少年のようで（少年なんですが）かわいかった……。

　そして、ついにやってきた勇利のフリー。ヴィクトルが教えてくれたことを勝って証明すると誓う勇利。その頭の中には、これまでのヴィクトルとの思い出が駆け巡ります。かつて勇利は「愛を知って強くなった僕を、グランプリファイナルの金メダルで証明する」と決意していましたが、その演技には“ヴィクトルへの愛”がひしひしと感じる……！

　ギリギリでグランプリファイナル出場が決まった勇利。臨時コーチのヤコフに「スパシーバ（ありがとう）」と抱きつき（その後、勇利はハグ魔に……）、「ヴィクトルはもうすぐロシアに帰るよ」と頭の中で告げた勇利には、ある決意が芽生えていました。自身の競技人生のピークがもうそこまで来ていると感じている勇利は、「金メダルが取れても取れなくても、ヴィクトルにはグランプリファイナルでコーチを辞めてもらう」と決めていたのでした。

　そんな心境を抱く勇利は、福岡空港でヴィクトルとの再開を果たすのですが、その情景はまるで恋愛映画のワンシーンのよう。お互いの姿を確認し、ガラス越しに見つめながら走る2人。そして、無言で抱きつくのでした（恋人かよ……）。「引退まで僕のことお願いします」と言う勇利に、「プロポーズ、みたいだね」と静かに言うヴィクトル……。2人は、グランプリファイナルで金メダルを取ることを誓うのでした。

　7話で愛を手に入れた勇利でしたが、今回の9話ではその愛を育んでいたなと。勇利とヴィクトルはあくまで師弟関係ではあるのですが、2人の“愛”はそれを超越している……！　ヴィクトルが「ユーリがずっと引退しなきゃいいのにな」って言っていたのですが、本当にその通りすぎて。冒頭でヴィクトルが言っていた「離れてても、心はずっとそばにいるから」という言葉は“今”だけじゃなくて、これからの2人も表しているような気もした今回でした。

　ちなみに、11月29日は勇利の誕生日ということで、9話ではユリオが勇利にカツ丼ピロシキをプレゼントするシーンもありました。おじいちゃんお手製のピロシキを自慢げにプレゼントするユリオはデレ全開でかわいかった～！
（文／月島カゴメ）