アメコミ「実写化不可能」奇譚vol.3

ゾンビにモンスター……!“世界一有名なヒーロー”スパイダーマンは1人だけじゃない?『スパイダーバース』

 続いて2体目は、東映版スパイダーマン。実は、日本で一度実写化しているのだ。1978年から79年までの1年間、放送されたマーベル社と“ちゃんと”契約を交わした東映製作の特撮テレビドラマシリーズ。

 設定や物語は東映独自の創作が許されていため、そのストーリーなどは独創的。中でもスパイダーマンが単身で戦うだけでなく、巨大ロボット「レオパルドン」に乗り込んで戦うという設定などは、現在でもネットでイジられている。しかし、多くの要素が後年の「スーパー戦隊シリーズ」に引き継がれていったなどの逸話もある作品。

 これこそ再びの実写化はないであろうこの作品の決め手は、明らかに他と違いすぎる世界観が理由。日本産の巨大ロボットが登場すると、途端に違和感に溢れた作品になってしまう。何年も公式で出てこなかったため、“黒歴史”にされていると思ったが、『スパイダーバース』の中で唐突に登場し、本場のアメコミファンの間で話題になった。

 3体目はゾンビスパイダーマン。ゾンビになってしまったスパイダーマンをはじめとするヒーローたちが人類を食い尽くす、コミック『マーベル・ゾンビーズ』。『ウォーキング・デッド』で知られるロバート・カークマンが手がける作品だ。

 ストーリーは、未知のウィルスでほとんどのヒーローがゾンビになって、とにかく食べまくるという、それだけ。この世界も本流とは違う並行世界で起きた単純明快でグロテスクなストーリー。どう考えても、実写化できないスパイダーマンだ。  最後はマンスパイダー。そのビジュアルは圧倒的。敵の遺伝子還元装置の光線を食らってしまったスパイダーマンのなれの姿。 蜘蛛8割、人間2割。腕足合計8本で、顔は蜘蛛そのものという化け物。07年に発売した「Spider-Man Figure Collection TIME CAPSULE」では、まさかの可愛いフィギュア化をし、知名度が上がった。相当にクリーチャー化した風貌から推測するに、おそらく映画化はしないであろう。いや、しないでほしい。気になる方はネットで検索を。

 さて、4人(?)のスパイダーマンを紹介したが、これは氷山の一角。ありとあらゆる引き出しを開けて、散らかりまくりのスパイダーマンの世界をご理解していただけたであろうか。  後先考えていないような広げ方でも、“パラレルワールド”だと言い切ってしまう世界観もアメコミの醍醐味のひとつだと自分は思う。作品同士のクロスオーバーや、超展開など受け入れて読んでみると、もっといろんなヒーローたちとの出会いが待っているのだ。
(文=大野なおと)

アメコミ実写化奇譚の過去の記事はこちら

スパイダーバース (MARVEL)

スパイダーバース (MARVEL)

スパイダーグウェン、いいよね

ゾンビにモンスター……!“世界一有名なヒーロー”スパイダーマンは1人だけじゃない?『スパイダーバース』のページです。おたぽるは、映画マンガ&ラノベ海外マンガの最新ニュースをファンにいち早くお届けします。オタクに“なるほど”面白いおたぽる!

- -

人気記事ランキング

XLサイズ……
XLサイズって想像できないだけど!!