【モノブライト出口博之の特撮自由帳(7)】

語ろう“スーパー戦隊”! 「大事なことは全てスーパー戦隊から教わった」ゲスト・宮島咲良×出口博之スペシャル対談!!

■カレーに釣られて罠にはまる……そんなキレンジャーがいてもいい

出口 ヒーローの話に戻るけど、比べてどうこうじゃなく単純に特徴として平成ライダーは主人公が悩む。脚本の井上敏樹先生も、「今の時代、00年代以降というのはヒーローをヒーローとして書ける時代じゃない、書きづらい時代になってきている」と言っていたけど。

宮島 ヒーローも人間である、という表現ですね。

出口 それがライダーの面白さであり深さだし、世相、今の時代と寄り添っているヒーロー。それはそれでもちろんいいし、面白さの方向が違うけど、「頼む! 助けて!」と言ったら来てくれて、「頑張れ!」と言ったら期待に応えてくれるのがスーパー戦隊。自分が辛くなったとき、頑張らなきゃなと思っているときに、「頑張れ」って言ってくれるのが、いいなとも思うんだよね。

宮島 そうですね。たから「戦隊の良さって何ですか?」と聞かれたときに、私は、「子ども向けだけど、子どもだましではない」と答えています。ライダーと戦隊だったら、戦隊のほうが1~2歳早くから見るじゃないですか。次にライダーにいって、という年齢的な順番があると思うんですよ。だから子ども向けを意識しているからかストーリーはより分かりやすいし、勧善懲悪がハッキリしている。でもよく見ると、大人の目線で見ていても楽しめるという部分を捨てていない……このバランスがスーパー戦隊はすごくいいんですよね。

出口 たしかにね。自我が芽生え始めた小さな子どもに向けて、「正しく生きるとは何か」みたいなところを、説教臭くならないまま、こういう人になりたいなって、子どもが自発的に思えるような展開・構成にきちんとなっているというか。

 ライダーも、きちんと生きようとするから悩むわけだけど、たとえば『ゴレンジャー』はヒーローが5人もいて性格がバラバラで、その中にはキレンジャーみたいなやつもいるわけで(笑)。

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宮島 カレーを食べてて罠にはまるってありえます!? たしか、敵に呼ばれた先で、パッとカレーが置いてあるのを見て「カレーじゃ」「食べてもいいかのう」なんていって、罠にまんまとはまってしまう(笑)。そんなの子どもでも分かることなのに、引っかかる人がいるのかって思うけど、キレンジャーは引っかかるんですよ!

一同笑

宮島 でも最終的には活躍して、「お前はさすがだな」なんていわれて終わる。あれは勇気がもらえますよ。失敗してもいいんだ、って思えますもの。

出口 アカやアオに憧れることも否定してないから。正しく格好良く生きなきゃいけない、という押しつけになっていないし、違う人が集まるからチームになっているんだっていう。相手への思いやりとかを学べるっていう仕組みになっているよね。

宮島 情操教育としてはベストだと思います、私。自分が親だったらと思うと、普通に教科書ぐらいの価値はあると思います。あとは恋愛要素を盛り込んだ『ジェットマン』も、衝撃的でしたね。

出口 ええ~ってなりましたよね。でもあれ、子どもの頃見ていたときは恋愛のゴタゴタは分からなくても、グレイだったりとか敵幹部に格好良さを見出したりとか。子どもは視野が広いから何でも見ているし、面白さの本質を突くのも鋭いし。

宮島 そうですね。それに加えて女の子のキャラクターも今は必ず入ってくるし、女の子が活躍する回では、ちゃんと女性が共感できるシーンがちゃんと描かれているんですよ。今も昔もグループの中に女性が2人いると基本仲はいいし、お互い好きなんだけど、どうしてもやきもち焼いたりとか、負けたくないって思ったり……と複雑な感じになりやすい。意外とそういうところがちゃんと描かれているんですよ。

『トッキュウジャー』だったら、カグラ(泉神楽)がミオ(夏目美緒)ちゃんにベッタリしたいけどできない――みたいな。でも最後は2人で一緒に戦ったりしますよね。ああいうシーンを見て女の子は、自分と友だちの関係を投影したりするんです。恥ずかしくていえなかったけど、友だちに「大好きっていっていいんだ!」と思わせてくれるんです。

出口 へぇ~。それは気づかなかった……というか、女性だからこそ気づく部分なんだろうな。

宮島 皆でワイワイ雑談しているシーンなんかもリアルですよ。ここは分裂してこっちに付く、ここは結託していこうとか、そういう部分はかなり細かいです。

出口 やっぱ実際、そういうことがあるんですか?

宮島 (声を潜めて)ありますよぉ、それは。やっぱそういうところありますよ。でもそれぐらいスーパー戦隊では、女の子もヒーローと同じくらいしっかりと描かれているんです。結構、戦隊の中の女の子が自分と近いかどうか、好きになれるかどうか。そういうのもその作品が好きになれるかどうかの基準としてあると思います。見た目、髪型とかもありますよ、「ちょっとベリーショートすぎてダメだな」みたいな(笑)。

出口 ああ、ファッションが攻めすぎていて共感できない、という人がいたなぁ。

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