メジャーとインディーの違いって何？　松江哲明＆マッスル坂井の異色タッグ『俺たち文化系プロレスDDT』

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　本作は、インディーズ系レスラーたちの素顔に迫ったドキュメンタリーだが、DDTのファンやプロレス愛好家ならずとも気になるテーマを扱っている。大家健、男色ディーノ、マッスル坂井はみんな1977年生まれの39歳。メジャーとインディーとの壁の問題に加え、40歳という人生の折り返し点をどう迎え入れるのかという切実な問題にも直面している。マッスル坂井は2児の父親であり、守るべき家庭と会社が故郷にはある。大家健もドキュメンタリーの撮影中に交際中の彼女との結婚を決意したことをカミングアウトする。2人よりもプロレスセンスのある男色ディーノだが、最近はお腹のたるみが目立ち始めた。いつまでプロレスを続けられるのか、どこにも保証はない。リングで待っているのは興奮と喝采だけではなく、後戻りできなくなる深く暗い落とし穴も潜んでいる。

後楽園大会はもうすぐ。当日の構成と演出を任されているマッスル坂井だったが、“台本”の執筆はなかなか進まない。

　ちなみに松江監督も彼らと同じ1977年生まれ。日本映画学校の卒業制作『あんにょんキムチ』（00年）でドキュメンタリー監督としてデビューし、『童貞。をプロデュース』（07年）や『あんにょん由美香』（09年）といったドッキリカメラを思わせる新感覚のエンターテイメントドキュメンタリーで人気を博してきた。そんな松江監督も2013年に国際結婚して、今は1児のパパ。ただ好きなだけでは、仕事も家庭も続かないことを充分に知っている。でも、だからこそ自分が大好きな世界を、夢中になれるものを大切にしたいと願う。アラフォー男たちのそんな愚直さが、本作のクライマックスとなる2015年11月のDDT後楽園ホール大会で奇跡的な瞬間を呼び寄せることになる。そこにはメジャーとインディーとの壁を越えた感動の光景が広がっていた。

 
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