『魔法少女の親友』幼なじみは魔法使いだった!? 世話焼きJCと個性豊かな魔法少女たちが織り成す日常コメディ

 平凡でごくフツーの女子中学生・平野ナミが、ある日テレビで見たのは、最近この町の事件を解決している“魔法少女”の姿をした、幼馴染で親友の春崎イチゴだった!? しかし、彼女をよく知っているはずのナミの母親や、学校のクラスメイトでさえもそれに気付いていない様子。

 一方のイチゴは、親友のナミにだけは魔法少女であることを打ち明けたいと、謎のウサギのぬいぐるみ(多分「魔法少女になってよ!」系のやつ)に懇願するも、正体がバレると魔法少女でいられなくなるというテンプレ的な理由で黙っていなければならないらしいのです。その場に居合わせてこっそり話を聞いていたナミは、親友としてイチゴを見守ろうと決めます。それからあと、あのウサギをいつか握りつぶすという決意も……。

 魔法少女の仕事が多すぎて、宿題を忘れた時も、授業を抜ける時も、友達の誘いを断る時も、言い訳が全部「トイレ」なイチゴ。彼女が「トイレ女」とか、変なあだ名で呼ばれたりしないか心配なナミは、帰宅するなり小5の弟に「トイレの魔法少女ってどう思う?」と聞いてみます。すると冷静な弟くん、「魔法少女はトイレなんて行かないだろ」と瞬殺! アイドルと同じカテゴリのようです。

 ところがある日、悪い心を浄化させるイチゴこと「フレーズ・プランタン」の前に、悪い心を増幅させる側であるという「ショコラ・イベール」という新たなる魔法少女が登場します。ひとまずその場では挨拶だけで済んだ2人でしたが、翌日、彼女たちのクラスに転校生が来ることに。悪い予感しかしないナミですが、やっぱりその転校生・冬海チヨコが悪い方(?)の魔法少女の正体でした。でも、もちろんイチゴは気付かないし、チヨコもイチゴの正体を見破れないまま、ナミと3人でお弁当を食べる素敵な仲に。チヨコが異常なまでの方向音痴であるためか、その後しばらくは魔法少女のイチゴとエンカウントすることはないのが幸いです。

 そして2度目に魔法少女として2人が出会った時、「シトロン・エテ」と「ノワ・オトンヌ」という、フレーズの味方らしい魔法少女が現れます。ネットのニュースで新しい2人の魔法少女の出現を知ったナミは、放課後は用事があるからと、彼女と別れて生徒会室に向かうイチゴをレッツ尾行! アンド盗み聞き! 新しい魔法少女は、「女帝」と呼ばれる生徒会長のクルミ先輩と、その幼馴染で「野生児」の異名を取るレモン先輩でした。魔法少女同士なら正体を知られても大丈夫らしく、ひとまず安心したナミでしたが、すっかり忘れていた中間試験! チヨコとクルミ先輩のおかげで、なんとか赤点をまぬがれたイチゴでしたが、魔法少女が4人揃っておいて誰もお互いに気付かないってどうなの……?

 このように、よくある魔法少女モノとは大きく毛色を異にする、平凡なJCが主人公でコメディタッチの『魔法少女の親友』(作:シズ/一迅社)は、まさかの保護者目線の世話焼きマンガです。多くは左ページ下に入って来る、お約束なオチやナミのツッコミが絶妙で、読みながらこちらも「なんでやねん!」とナミに同意してしまいますね。誰に感情移入するかと言われたら、まともな子がナミしかいないんだもの……。

 しかし唯一気になるのが、ショコラのぬいぐるみが語った「次の桜が咲く頃には、きっと終わっているはず」という言葉。何かが終わるのか、すべてが終わるのか──不安がよぎるナミでしたが、その後も平和でのんきな日々は続きます。この先が気になりつつも、より鋭いナミのツッコミに期待したい作品です。
(文/桜木尚矢)

魔法少女の親友: 1

魔法少女の親友: 1

ナミがイチゴを心配する気持ち、わかる……

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