声優誌レビュー「声優Pick-up Actor」2016年11月号

「Pick-up Voice」と変わらぬテイストだが、苦労も垣間見える…出版社破産を乗り越え、「声優Pick-up Actor」発売!

――昨今の声優人気に伴い、気がつけば声優専門誌も定期・不定期を合わせて10誌以上が刊行されている。そんな“声優誌 群雄割拠”の時代にあって、各誌はどのような記事・企画をとりあげているのだろうか? 主要な声優誌を中心に、目玉記事や気になる企画などを紹介しつつ、各誌の特徴を分析していく――

「声優Pick-up Actor」Vol.1
出版社…辰巳出版
発売日…10月26日
価格……1,200円+税
創刊……2016年

 音楽専科社の破産により、107号(2016年11月号)で最終号となった「Pick-up Voice」。しかし、同編集部は辰巳出版へと移管。「声優Pick-up Actor」と誌名を改めて、記念すべきVol.1が発売された。

 辰巳出版は、綜合図書や富士美出版、スコラマガジンなどの関連会社を持つが、声優・アニメ関連の定期刊行物はない。しかし、綜合図書から年1回程度のペースでムック「声優ラジオの時間」を刊行しているほか、2016年には「声優Premium」(綜合ムック)、「VOICE OVER」(タツミムック)といった声優関連のムックを相次いで発売するなど、近年の声優ブームに興味を示している様子。そんななか、折しも声優情報・取材などのノウハウを持つPick-up Voice編集部を迎え入れた恰好だ。

 さて、改題した「声優Pick-up Actor」だが、その誌面はそれまでの「Pick-up Voice」を完全に継承している。連載コーナーも変わらず掲載されており、「関智一の自伝的読物」は第95話、「『Kiramuneカンパニー』会報」はFile.8といった具合に、各連載のナンバリングもそのままだ。

 また、移管後の挨拶・アナウンスなども誌面には一切なく、編集者やデザイナーのクレジットも同じ。「あくまでも出版社と誌名が変わっただけ」といった様相だ。しいて違いを挙げるとすれば、今号は読者投稿コーナーがなかった点だろうか。同コーナーは、読者から届いた前号の感想を紹介するコーナーである。さすがに出版社が変わった手前、Vol.1にして音楽専科社の「Pick-up Voice」を「前号」として読者のお便りを紹介するわけにはいかなったようだ。

 ただし、興味深かったのはプレゼントコーナーに掲載された水瀬いのりのサイン色紙だ。雑誌などのプレゼント用サインには媒体名が書かれるのが一般的なのだが、今回の色紙に記載されていたのは「Pick-up読者さまへ」という中途半端な誌名が……。

 おそらく彼女に取材したとき、まだ誌名が確定していなかったのだろう。しかし、新しい誌名にも「Pick-up」を継承することだけは決まっており、編集部判断で「えーと、とりあえず『Pick-up読者さまへ』でお願いします」といったやりとりがあったのかもしれない。出版社の破産後も業務を続け、以前と同じ26日発売に漕ぎ着けた同誌。きっと裏では並々ならぬ苦労があったのでしょうね……お疲れ様です!

 恒例の両面表紙も健在で、今号の表紙&巻頭大特集はアニメ『夏目友人帳 伍』で主演を務める神谷浩史井上和彦、裏表紙&巻末大特集はアニメ『魔法少女育成計画』より東山奈央沼倉愛美が登場。グラビアページでは余計なキャッチを載せず、ページ数も記載しないというスタイルも変わらず、これまで通りの質の高い写真が楽しめる。

 多少のリニューアルは期待していたが、良くも悪くも「Pick-up Voice」と変わらぬテイストとなった「声優Pick-up Actor」。今後も、これまで通りの誌面づくりになるのかもしれないが、気になるのは次号予告が掲載されていなかったことだ。

 11月18日現在、Pick-upVoice編集部の公式ツイッターにも次号についてのアナウンスはなく、ムックという形式上、今後は不定期刊行になるのだろうか。移管直後で編集部も何かと慌ただしいと思うが、次号以降の動向が気になるところだ。
(文/神楽坂隆)

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