風刺ゲームシリーズ完結! トランプ次期大統領が“プッシーをつかむ”パロディゲームが公開!

■州によって大違いの選挙当日

 残るもう1本、シリーズの有終の美を飾る(!?)作品『The Voter Suppression Trail』は、ある意味ではなかなかの力作である。「投票者弾圧の行列」とでも訳すべきか、現在のアメリカの選挙日の実態を痛烈に風刺した内容なのだ。

 ゲームの内容は、決戦の11月8日にアメリカ国民として投票所を訪れるという、言ってみれば投票行為シミュレーションである。プレイヤーはまず3つ設定のどれかを選んでから投票日を迎えることになる。その3つの設定とは以下の通りだ。

・カリフォルニア在住の白人のプログラマー
・テキサス在住の中南米系の女性看護師
・ウィスコンシン在住の黒人の営業マン

 この3つの設定のどれを選ぶかで選挙当日の1日がまるで変ってくるのだ。カリフォルニア在住の白人を選んで選挙当日を迎えると、自宅近くの投票所へ行ってアッというまに投票行為が終わるのに対し、ウィスコンシン在住の黒人を選ぶと、投票所数が削減されたために遠い場所にある投票所へバスに乗って向かい、ようやく到着したかと思えば長蛇の列。仕方なく最後尾に並ぶも、きわめてゆっくりとしか前に進めず、そんなことをしているうちに会社の上司から電話がかかってきて仕事の催促。大統領選とはいえ火曜日という平日であるため、ほとんどの会社は営業中なのだ。そしてプレイヤーは投票を棄権するかどうか、何度も選択を迫られながらこの“悪夢の1日”をバーチャル体験することになるのである。

 今回のトランプ勝利の鍵を握っていた要素のひとつに、白人の貧困層である“プアホワイト”の高い投票率があげらているが、“プアホワイト”と主に移民系の貧困層を分ける特徴的な違いがある。それは自動車運転免許の所持率だ。“プアホワイト”のほとんどが自動車免許を持っているのに対し、移民系の貧困層の大部分は所持していないといわれている。

 一部の州では有権者ID法(Voter ID Law)が施行されており、投票に際して写真つきの身分証明書の提示が求められている。自動車運転免許を提示すれば、何の問題もなく投票できるが、持っていないとなれば事前に身分を証明するものを用意しなくてはならないため、移民系の貧困層は投票に際して大きなハンデを負っていることになる。同じ貧困層でも、投票行為が容易な“プアホワイト”の浮動票は無視できないということになり、これがトランプ勝利の一因でもあったとする指摘もあるようだ。

 日本の低投票率とはまったく事情が異なるアメリカの歪んだ選挙制度の問題が、この風刺ゲームがきっかけに広く議論になるとすれば、このパロディゲームシリーズも本望を遂げたということになるだろう。
(文/仲田しんじ)

【参考】
・GOP Arcade
http://www.thegoparcade.com/
・Salon
http://www.salon.com/2016/11/14/how-voter-id-laws-helped-donald-trump-win-the-presidency/

トランプ思考

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