『ちびまる子ちゃん』脚本・高橋幹子インタビュー!! 「いい話だなー」率の高い注目脚本家を直撃!知ってそうで意外と知らない『まるちゃん』制作現場とは!?【前編】

1611_maruko04.jpg「『まる子、リレーのアンカーに選ばれる』の巻」より(C)S.P/N.A

■脚本、演出、音楽、音響、声優……プロの技が結集!

―― 高橋さんが書かれた脚本で、オンエアを見て、「すごい!」と思われたエピソードがあったら教えていただけませんか?

高橋 まずは「『まる子、リレーのアンカーに選ばれる』の巻」(第925話 13年10月13日放送)という、2本立てで30分まるごとのお話です。脚本の段階で自分でも好きな話だったんですけど、アニメではまる子がリレーで頑張って1位になったとき、少しだけ静寂――間があって。動きも止まるというタメがあってから、「やったー!」と声が入って、絵も音も動き出すというシーンになっていて、「うわ、やられたな」と思いましたね、私の脚本では普通に「……やったー!」って書いていましたから、この「……」を見事、表現して下さったんですね。脚本家の楽しみというのは、こういうところにあるんだなと思いました。

 あと好きなのが、「『思い出のオルゴール』の巻」(第983話 14年12月7日放送)。たまちゃんが両親の思い出のオルゴールを、うっかり壊してしまう。修理しようとするんだけど、部品が古すぎて修理できない……という悩みをたまちゃんがまる子に相談するというストーリーで。たまちゃんはピアノを弾く女の子ですから、オルゴールの音楽をピアノで再現するというラストにしたんです。「モノは壊れるけど、想いは受け継がれてゆく」そのテーマで1本、お話を書きたかったんです。

 監督からは「その曲ってどんなイメージ? イメージがあるなら送って」と言われました。何本か動画のURLをお送りしたんです、こんな切ない感じのイメージですと。そうしたら一から楽曲を作ってくれて……。

熊谷 あの曲は音楽の中村(暢之)先生が作ってくださいました。

高橋 それがまたイメージとピッタリで、もう本当に素晴らしくて! ネットを見ても――すぐにネットを見ちゃうんですけど(笑)、「この曲、知りたい!」「既成の曲なの!?」と反響もすごく大きかったんですよ。音楽や演出から力をもらえると改めてわかった作品です。

 あと「『対決!大野くんと杉山くん』の巻」(第979話 2014年11月9日放送)。コンテと演出を監督が担当してくれたんですが、これはもともと大野くんと杉山くんをライバルにしたら面白いのでは、と発想したのがはじまりです。大野くん、かっこいいですよね(笑)。たしか最初は水泳だったと思うんですが、打ち合わせで野球にしようという話になりました。監督が野球大好きなんです(笑)。

 でも私は『タッチ』(作:あだち充/小学館)しか知らない。なので脚本に入る前に、「何試合かテレビで野球を観て下さい。今ならデーゲームもやってますから」と監督から言われ、録画して3試合ほど観ました。あとはもう『タッチ』で得た知識を総動員させようと(笑)。『タッチ』大好きなんです。オンエアを観た時はとても面白くて、一視聴者として楽しんだのを覚えています。スピード感もあるし、間の取り方も絶妙ですし、対決の緊張感もさすが野球好きだなぁと。一視聴者として楽しめる、というのは演出が素晴らしい証拠だと思います。

―― 演出に加えて、声優さんの演技もありますよね。

高橋 たしかに! 声優さんも本当にすごいですよね、何度かアフレコの見学にお邪魔させていただきましたけど。皆さん長年やられているからだと思いますが、早い! リテイクがほとんどなくて。2時間くらいで終わっちゃうんですよ。

―― 2時間!? 通常は30分アニメは4~5時間かかると聞きます。それ、テスト一発、本番一発ぐらいで済んでいるんじゃないですか?

熊谷 そうですね、大体それぐらいです。別録りもほとんどないので、予定時間よりも早めに録り終えてしまうことが多いです。皆さんの26年の積み重ねがあるからこそですね。「あうんの呼吸」とはまさにこういうことだな、と毎回思います。

高橋 ドラマの現場だと、ご長寿シリーズはあまりないので、現場が慣れたころに解散なんです。でも『ちびまる子ちゃん』は26年やってますから、一体感がすごい。また音響監督の本田(保則)さんのことも尊敬しています。

 本田さんは決して怒らず、的確に指示を出していくし、その指示に声優の皆さんもまた的確に答えていく。やっぱりプロはすごいなと思いますね。私はよくドラマとコラボしたときの脚本を担当させてもらうんです、最近だと松下奈緒さんとかシャーロットさん(シャーロット・ケイト・フォックス)さんが登場した回とか。皆さん役者さんではあるけれど、声優さんとしては初めてだったりする。でもそういった方々に対しても、本田さんはいつも的確な指示を出し、役者さんもまたちゃんとそれに応えるんです。プロって怒らないんだなと思いました。静かに指示し、静かに応える。自分もそうありたいと、あの現場に行くたびいつもそう思います。

 1話の脚本を仕上げるまでに、ここまで手間がかかっていたとは……恐るべし『ちびまる子ちゃん』。といったところで、インタビューは20日配信予定の後編へと続く。

 なお、その20日放送の第1078話「『さくら家のお医者さん』の巻」は、高橋氏が脚本を担当! インタビュー【後編】とあわせてチェックしてみよう!

1611_takahasisan.jpg脚本・高橋幹子氏

■TVアニメ『ちびまる子ちゃん』
・公式サイト http://chibimaru.tv/
・公式Twitter @tweet_maruko
・放送情報
毎週日曜日夕方6時よりフジテレビ系にて放送中

■日本アニメーション公式サイト
http://www.nippon-animation.co.jp/

アニメ『ちびまる子ちゃん』
(C)さくらプロダクション / 日本アニメーション

東京シェアストーリー 1 (ゼノンコミックス)

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高橋さん、マンガ原作をやられています

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