富野由悠季「1000万は伊達じゃない」「知られてない作品の話が通じないのが嫌」 誕生日なのに“死に支度”の話も

 さまざまな分野・立場から、多面的な角度での議論が紛糾してきた文化庁メディア芸術祭も20年が経過(準備含む)。10月15日から11月6日まで、アーツ千代田3331にて「文化庁メディア芸術祭20周年展-変える力」が開催された。先日に続き(記事参照)、11月5日に行われたシンポジウム「『メディア芸術祭』の20年」より、本記事では富野由悠季にスポットをあて、そのコメントを紹介したい。

1611_tomino1.jpg写真:右から富野由悠季、岩谷徹、里中満智子、建畠晢、佐伯知紀、小林桂子

「文化庁メディア芸術祭」で設けられているのは、アート、エンターテインメント、アニメーション、マンガの4部門。なかでもアート部門とエンターテインメント部門には、ジャンルを横断した、多岐に分類可能な作品が集まりやすい。もちろんアニメーションに該当する作品もアニメーション部門だけでなく、アート部門やエンターテインメント部門でも見られる。

「実を言うと僕の立場はとても特殊で、メディア芸術祭の受賞者ではないんです。受賞者ではないのに、何故か3回目(00年)に草月会館でやった時からゲストという形で呼ばれてます。(観客の)動員をどうかけたらよいのかわからないということがあったので、『ガンダム』と『イデオン』を上映させてくれ、上映するだけではどうにもならないので、ゲストで来て話をしてくれないかというのが縁です。言ってしまえば僕の場合は、一般の人たちに宣伝する方法ってないんだろうかっていう。メディア芸術祭(の名称)では、なかなかお客さんが来てくれない、だから旗振り役で来てくれって呼ばれたんです」とぶっちゃけた富野由悠季監督。

tomino2.jpg写真:文化庁メディア芸術祭関係年表(2ページ目)

 当時、富野には「何でこういうものを中央官僚の人たちが仕掛けて、『メディア芸術祭』を開催する事務局みたいなのを立ち上げてやってるんだろう、こんなことをやってもしょうがないんだよね」という印象しかなかったとのこと。当時の会場・草月会館にも触れ、「芸術論的に言うと右翼のとこで、とても特別な場所なんですよ。知ってる人は知ってる、知らない人は知らない、素人が行こうと思ってもなかなか行けない場所に現在もあります。というようなところでやってて何なんだかな~って思いはしましたけど、その時のことはあまり覚えてないんです」と振り返った。

 また、アニメーション部門の審査委員(主査)を務めた第9回と第10回(06~07年)を振り返り、「お上が60万円しか出さないって言うのに噛み付きました。アニメに優勝とかグランプリって賞を渡すなら、1000万は出せって。1000万は伊達じゃないんですよ。最低限、1本短編を作るんだったら、そのくらい現金が要るんだから。そのくらいのことをしてサポートするみたいなことをしてくれないんだったら、みたいなことを言いたいんだよね~。結局は言いませんでした(笑)」と笑いを誘った。

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もう一本、できれば「ハサウェイ」作って欲しい

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