「ありがとう民主党!(当時)」 里中満智子が“国営マンガ喫茶”“アニメの殿堂”の誤解で疲れ果てた日々を回顧

「次から次へと若い人たちがチャレンジすることによって、硬直せずに広がっていく。認められて充分な環境で、とても恵まれた潤沢な資金があってやっていけたらどうなるのかなって心配が却ってあるので、いつまでもマンガに賞金をくれない方がいいやと思うんですが、くれるものならもらっといた方がいいですよね(笑)。だから私は賞金には文句を言いました。前段階から新しい分野には投資しよう、若い人には励みになるだろうと」(里中)

1611_satonaka3.jpg写真:里中満智子と共に当時を知る佐伯知紀が話を補足

 また里中は「メディア芸術」という呼称についても、「何て呼んでいいか分からないんですよね。色んな候補が出たんですが、(それぞれの言葉を)何て説明しようかって。メディアを通して皆さんに届くもの、そんなこと言ってたら映画だってテレビだって新聞だって、何らかの手段で届くものですから、どんなもんかなと思いながらも従来の芸術と区別するためにつけたんでしょう。芸術と呼ばれたくてつけてるわけじゃないんです。国がこういう部門も認めていますよという、一種のアリバイ作りかもしれません。関わってる人たちが芸術と呼ばれたいかというと、必ずしもそうではないわけです」と説明。

 そして「メディア芸術祭」の歴史の中でも、もっとも強く記憶に刻まれた09年の“メディア芸術総合センター構想”についても、里中は2カ月ほど仕事も何もできず説明に回り疲れ果てたと回顧し、過去に映画の資料館を作る話があった前例を挙げ、国(民主党・当時)が一度撤回したことを、再度実現させることの難しさを力説した。

「その時だって古い意見として『そんなもんに税金を使って』ってのがあります。またそれと違って『国から認めてもらって喜ぶのか』という意見もあります。何をやるにしてもさまざまな意見が出てきて、それらの意見を全て言えるのが良いところだと思います。だからみんなで大いに意見を言えばいいし、何を実行するかは良識を伴いながら判断しなければならないと。もしメディア芸術総合センターができていれば、あの時にデジタル上の作品保存だけでよいと思ってたんですよ。ただ箱があるならあるに越したことはなくて、海外からこういう日本の分野をチェックするべき拠点がどこにもないわけですね。ですからこのメディア芸術を集めた総合案内所みたいなセンターを箱モノとして欲しいなと思いました」(里中)

 当時の自民党政権(麻生太郎内閣)が建設費として計上した予算は117億円。里中は母子家庭の支援金と同じ額だと叩かれたこと、福祉予算でもその額は少ないのに叩きやすい方として引き合いに出されたことを嘆いた。

「未だに残念なんですが、最初に計画したのはアニメーション制作現場の制作現場の厳しさを言われてましたので、若い人たちが実地で見学して何か出来るような場所を作れたらいいなと思っておりました。アニメーションも日本で培った技術が色々あるんですが、経済的な事情から海外発注で任せきりになってしまうことがあります。そのためにアニメーション技術が空洞化してしまう恐れもありましたので、こうやって作っていくんだと疑似体験できる現場があればいいなと」(里中)

女帝の手記 1巻

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明治大とか、私設が頑張っているのも限界があるでしょうし

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