“脳トレ”ゲームに逆風か!? 脳に良いかどうかは「証拠不十分」

■人気“脳トレ”サイトが虚偽広告で罰金

 とはいっても、特定の“脳トレ”ゲームの具体的なゲーム設定において、それに極めて近い状況であれば、ゲームをすることでそのスキルが向上する傾向はあるということだ。例えば、空港のX線荷物検査をシミュレーションした「危険物発見ゲーム」では、プレイをするほどにナイフを素早く発見する能力は劇的に高まるという。しかし、それがほかの形状の危険物を発見する能力の向上につながるのかどうかは、わからないということだ。

 つまり、やや乱暴な言い方をすれば、“脳トレ”ゲームを繰り返しプレイすることで、「特定のゲームの腕が上達しているだけなのではないか」ということが指摘されているのだ。故に、実際に脳のトレーニングになっているのかどうかはわからないのだ。

 うがった見方をすると、今回の発表には伏線があったのかもしれない。それというのも今年1月、先に触れたアメリカのブレインゲームサイト「Lumosity」の広告が、学術的に立証されていないことを主張した虚偽広告であるというFTC(連邦取引委員会)の指摘を受けて、200万ドル(約2億1,000万円)の賠償金を支払わされているのである。

 同社の広告では「Lumosity」が記憶力の低下や認知症、アルツハイマー病の予防に効くことをはじめ、学校、会社、スポーツでの最大限のパフォーマンスを発揮でき、PSTDやADHDなどを防ぐ効果があると大々的にアピールしていたが、そのような効能は科学的にいっさい根拠がないことを政府機関が公言したかたちになった。

 規模は小さいものの、同じくブレインゲームサイト「LearningRx」を運営しているLearningRxもこの5月にFTCからの指摘を受け20万ドル(約2,100万円)の賠償金を支払っている。

 こうした経緯もあり、人気のゲームジャンルである“脳トレ”に思わぬ逆風が吹きつけているようだ。しかしながら、認知機能の向上に直接つながるのかどうかはともかく、ビデオゲーム全般が脳へ好ましい刺激を与えているという研究はこれまでにも枚挙に暇がない。いずれにしても消費者側としては、今後もビデオゲームと脳機能の関係についての研究がより深まることを期待したい。
(文/仲田しんじ)

【参考】
・NPR
http://www.npr.org/sections/health-shots/2016/10/03/496120962/brain-game-claims-fail-a-big-scientific-test

“脳トレ”ゲームに逆風か!? 脳に良いかどうかは「証拠不十分」のページです。おたぽるは、コンシューマーゲームゲームの最新ニュースをファンにいち早くお届けします。オタクに“なるほど”面白いおたぽる!

- -

人気記事ランキング

XLサイズ……
XLサイズって想像できないだけど!!