読めばゴジラもウルトラマンも、カッコよく描けるようになれる!?『開田裕治 怪獣イラストテクニック』レビュー!

2016.11.07

『開田裕治 怪獣イラストテクニック』(玄光社)表紙

 10月15日に発売された、怪獣絵師・開田裕治の作画技術が詰め込まれた『開田裕治 怪獣イラストテクニック』(玄光社)。“イラストテクニック”とタイトル付けられているものの、イラストレーターやイラストレーター志望者にとってだけでなく、特撮ファンなら誰でも楽しめるような1冊だったので、紹介してみたい。

 まず著者の開田裕治をざっくり説明すると、怪獣やロボットのイラストを手掛けてきたフリーのイラストレーター。『機動戦士ガンダム』シリーズのプラモデル、いわゆる“ガンプラ” や『機甲界ガリアン』、「ザ・特撮コレクションシリーズ」(ゴジラやウルトラシリーズ)のボックスアートを手掛けたほか、SF雑誌やゲームのポスターやカードなど多数描いている。1997年には、第28回星雲賞(アート部門)を受賞した怪獣、いやSF界を代表する絵師だ(なお奥さんは官能小説で知られる開田あや)。

第一章より。左はゴモラ、右は上が「ミイラの叫び」、下が「ウルトラマン対ネロンガ」

 さて本著は、まず第一章では『ゴジラ』『ウルトラ』シリーズを中心とした開田のイラストをズラッと掲載。本人の解説付きとなっており、これが結構楽しい。個人的なお気に入りは、珍しいデフォルメされて描かれた「ゴジラ対キングギドラ」と、「最終話で宇宙に旅立ったブースカが、20年後に大人になった大作の元に帰ってきた」という設定で描かれた「ブースカの夜」が可愛くて好き。また、開田オリジナル怪獣・ギガラも掲載されているのがうれしい。

 第二章以降では、いよいよ“イラストテクニック”へ入っていく。パース、消失点、遠近法……などなど、聞いたことのある単語も、ない単語も入り乱れて誌面は進んでいく。こう書くと、怪獣やヒーローが好きなだけで、“描く”ことに興味がない人は「俺はいいや」と思ってしまうかもしれないが、少しずつ完成に近づいていく工程は、何となく眺めているだけでも楽しいし、語り口も軽くて楽しい。

第二章より、ここでは怪獣の基本構造と描き方を説明

 何せ「前のページでは偉そうなことを書きましたが、私は大学で図法の講義を一年間受けたことがある程度で、パースの専門的な深い知識は持ち合わせていません」とか、書き出してしまうほど。“イラストテクニック”は段々と高度になっていくが、心配しなくても大丈夫。

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