中村悠一マングローブ倒産の影響に“男気”発揮!? 種崎敦美は「もっとはやく始めていたら…」とボヤく【TIFFアニ!!】

2016.11.05

第29回「東京国際映画祭」公式サイトより。

 10月31日、東京国際フォーラムホールCにて第29回「東京国際映画祭」(TIFF)内で『TIFFアニ!! 第一部 「東京国際映画祭 イチオシ・アニメ スペシャルステージ」』が開催。本ステージでは、今後公開されるアニメ映画『ポッピンQ』、『チェインクロニクル~ヘクセイタスの閃(ひかり)~』第一章、『虐殺器官』の3作品を紹介するとともに、“日本のアニメーションの今を取り上げるというコンセプト”で、各作品のキャストやスタッフがトークを繰り広げた。

『とくダネ!』(フジテレビ系)でお馴染みの笠井信輔アナの司会でスタート。なぜアニメと関係なさそうな笠井アナが? とも思わせられたが、実はちゃんとアニメは見ているそうで、「『超時空要塞マクロス』を観て青春時代を過ごし、『オーガス』、『ガンダム』のファースト観て、『イデオン』観て、『カバネリ』とか観ていて」と、アニメ好きをアピールしていた。

 さてまずは、『ポッピンQ』のステージから。冒頭7分が丸々上映された後に、宮原直樹監督と、同作で友立小夏役を演じた種崎敦美が登場。上映された映像にはなかったが、本作の見どころについて「ダンスシーンがポイント」と、宮原監督がコメント。すると、笠井アナが種崎に「『ラブライブ!』とか流行ってるから舞台挨拶とかでダンスとかやったほうがいいよ!」と、他作品と絡めたムチャ振り。アニメ・声優業界にしがらみのないからこその自由な笠井アナの発言に、種崎が苦笑いさせる場面も。

 その種崎は作品の人生をやり直すというキーワードにかけて、自分の後悔を告白。それは、声優養成所に通う決断だったそうで、「声優の養成所に入るため、お金をためる目的で就職して働いていたんです。その辞めるタイミングがターニングポイントで。もうちょっとはやく始めたらどうだったのかなとか。22歳のときに決断してそこからが大変だったんです……」と10代から活躍する声優も多い業界だけに、実に苦労を感じさせるコメント。

 続いての『チェインクロニクル~ヘクセイタスの閃(ひかり)~』では、第一章の映像・約25分ほどが初公開された。TVアニメ1本分以上のボリュームだが、すでに公開されたPVで抱かせてくれた期待に応える映像となっていた。そしてとにかく声優が豪華と。

 こちらのステージイベントには、工藤昌史監督、山下大輝、石田彰が登壇。スマホアプリゲーム版では作中で40役をもこなした石田が、映画でもそのまま40役をやる構想も少しはあったという、冗談のような、いや、ちょっと観てみたかった気もするようなネタを工藤監督が披露し、観客席をわかす。石田も便乗し、「(山下が演じる)アラムだったらやってもよかったかな」と、ニヤリ。予想もしない方向から攻められた山下が、壇上で焦りまくるという、楽しげなやりとりも繰り広げた。

 最後は、『虐殺器官』。本作は34歳で夭折した小説家・伊藤計劃の第1作として知られているが、2015年に制作を担当していた株式会社マングローブが経営破綻。一時はどうなることかと、アニメ業界をザワつかせたいわくつきの作品でもある。その後、チーフプロデューサーの山本幸治が新スタジオ「ジェノスタジオ」を設立、制作を引き継いで16年冬の公開へ向けてリスタートを切っていた。

 会場では、その紹介導入映像でデカデカと「アニメ制作会社倒産」という文字が並び、自分たちから触れていくのだから、転んでもただでは起きない感じがヒシヒシと伝わってくる。登壇した山本プロデューサー、櫻井孝宏中村悠一も、そのことについて話す珍しい光景も。

 中村は、マングローブ倒産のニュースが出た翌日に、実は本作の取材を受ける予定があったらしく、「ニュースでたまたま見てマネージャーに『明日の取材はどうなった?』と、聞いたら『ありますよ』といわれて、ニュースを見てないな、こいつと思って『とりあえずヤフーニュースを見ろ!』って言って(笑)。やっぱり翌日の取材はなくなりました」と、当時の衝撃と業界のバタバタぶりを明かす。

 櫻井も「僕らにとってもも青天の霹靂でした」と、驚きを隠せなかったよう。ちなみに、中村は男気を見せ、リスタートを切った本作へ、追加で声が必要ならと申し出たという裏話も明かしていた(結局、以前に録った声の完成度が高く、追加収録はなかったそう)。

『ポッピンQ』、『チェインクロニクル』第一章は今年12月に、『虐殺器官』は来年2月での公開が発表と、今冬も劇場アニメが熱そうな感じ。どの作品も方向性は違えど、それぞれ熱気は伝わってくるものだったので、公開を楽しみに待ちたいところだ。
 (取材・文/星山一博)

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