【実写映画レビュー】「精神的BL」要素アリな『デスノート Light up the NEW world』は、続編ではなく“二次創作”?

1611_DEATH_NOTE_movie_.jpg『デスノート Light up the NEW world』公式サイトより。

『デスノート Light up the NEW world』は、2006年に前後編で公開された実写版『デスノート』『デスノート the Last name』の続編である(後述する原作コミックの続編ではない)。前作で犯罪のない社会を目指してデスノートを使い、世界中の犯罪者を粛清したキラこと夜神月(やがみ・ライト)が、世界的名探偵Lによって追い詰められ絶命してから10年後の話だ。

 キラの遺志を継ぐため、世界に存在する6冊のデスノートを集めようとするサイバーテロリスト・紫苑優輝(菅田将暉)が行動を開始する。紫苑を追うのはデスノート対策本部特別チームの捜査官・三島創(東出昌大)と、Lの後継者である世界的名探偵・竜崎(池松壮亮)。ふたりは反目しながらも共同で捜査を進める。いっぽう紫苑は、かつて月を愛したデスノートの元所有者・弥海砂(あまね・みさ/戸田恵梨香)に接触するが……。

 実は本作、続編というより壮大な二次創作と呼ぶにふさわしい。前作実写版を観てからでないと、話についていけないからだ。オリジナルに精通したファンにしかツボがわからない二次創作同人誌と性質は同じ。無論、ニワカは門前払いだ。よく知られた『デスノート』の基本設定は、「ノートに名前を書かれた者は死ぬ」「ノートの所有者にだけ死神が見える」だが、これでは全然足りない。最低でも「“死神の目”の効力」「名前はノートの切れ端に書いても有効」「デスノートの所有権を放棄すると、所有者はノートに関するすべての記憶が消える」程度は了解しておかないと、劇中で何が起こっているのか、登場人物たちが何を怖がっているのか、なぜそのような行動をとるのかが、ほとんど理解できないのだ。

 一例を挙げよう。竜崎は自宅の電灯スイッチに自分が所有するデスノートの切れ端を常に貼り付けているが、これは竜崎が毎日出かける前にノートの所有権を放棄して記憶をなくし(デスノート所有者であることを自発的に忘れ)、帰宅してスイッチに手が触れるたびに、それを思い出すようにしているからである。
 なぜそんな七面倒臭いことをするかというと、デスノートの所有者は“死神の目”を持つ別のノートの所有者に、所有者であることがバレてしまうからだ。……などと説明しても、『デスノート』という作品に触れたことがない人は、何のこっちゃだろう。劇中ではほんのわずか説明されるだけなので、初見で理解することは不可能。しかし終始こんな調子である。一見さん完全排除の映画と覚悟すべし。

 だいたい、物語の大前提である「人間界で同時に存在していいデスノートは6冊まで」というルール自体、原作では文字情報としてチラッと登場したのみで、本編では使用されていない設定である。そんな誰も覚えていないマニアックな設定を掘り出して1本作ってしまうなんぞ、二次創作的態度以外の何物でもない。

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