【今月の不健全図書レビュー】九波ヒメミコ『ペロハメ』審議会も「ぜんぜん、興奮できる気がしねえ」のかな? 

【今月の不健全図書レビュー】九波ヒメミコ『ペロハメ』審議会も「ぜんぜん、興奮できる気がしねえ」のかな? の画像1『ペロハメ』(ジーウォーク)

――東京都をはじめ、地方自治体の「青少年・治安対策本部」では、毎月“不健全図書”を挙げ、自主規制団体らと共に審議を行っている。この審議結果は毎回公表されるものの、審査過程での自主規制団体の声が顧みられることはほぼない。エロにせよ何にせよ、どこか尖った作品を大の大人が色々な立場から評価するという、そんな貴重な意見が無視されるなんてもったいない! このコーナーでは、“不健全図書”に指定されたマンガなどを自主規制団体の声と共に紹介していきたい。つまり、クラウド・ファンディング(群衆による資金調達)ならぬ“不健全図書”クラウド・レビュー(群衆による批評)、はじまり、はじまり~!

【今月の指定図書】

 最近、人から「審議会の傍聴とか行かないのですか?」と聞かれました。ある程度、知識のある人ならご存じでしょうが、東京都では、この記事の資料に使っている「諮問図書等に関する打ち合わせ会」で、自主規制団体から聞き取りをおこなった上で、青少年健全育成審議会を開催して、指定するか否かを決めるという制度をとっています。

 審議会自体は、一部は傍聴可能となっているのですが……わざわざ傍聴に出かける気になりません。「市民の目による監視」とか、なんとか語る人もいますけど、筆者は別段、政治運動家でもないし、表現の自由を守ろうと主張しているワケじゃないので……。

 さて、11月の2冊目は、新刊を一挙2冊刊行。2冊ともに指定されてしまった九波ヒメミコ『ペロハメ』(ジーウォーク)を検証していくことにしましょう。一種、偉業を達成してしまった九波氏。その作品は、そんなに、けしからんものなのでしょうか……?

(以下、別記のない限り、【】内は「自主規制団体からの聴き取り結果」より引用)

 この単行本、指定該当7・保留1・指定非該当6と、かなーり指定非該当とする意見が多いです。

 表題作は中編で、主人公が一人暮らしするアパートに、義理の妹が、両親が旅行中のため「私のゴハンはどうするのよ」と押しかけてきて始まる物語。そんな義妹に催眠術をかけたら、ホントに効いてしまい、犬になった義妹とエロエロする展開になります。

 まず、筆者の主観を述べさせて頂きますと……この作品は、エロいのか?

 ええ、表紙の雰囲気と違って本編は、細めの線でサブカル的で無機質な絵柄。エロを売りにしている作品なのに、あんまり「勃起させてやるぜ」感がないのです。エロシーンは多いですが、構図を工夫して修整が必要なコマはほとんどありません。

【シーンによっては露骨に描かれている】【絵が上手く、卑わい感を感じる】という意見があるのですが、きっと、この人はあまりマンガを読み慣れていないのでしょう。ほかの指定該当とする意見も【人格否定的な要素もあり、卑わい感も強い】【全編にわたり、擬音・体液の描写が多く、卑わい感がある】とテンプレ感がにじみ出ています。

 対する指定非該当とする意見も【擬音や体液も激しいが、絵柄に卑わい感がない】【コミカルさも感じる】というよく見るテンプレが目立ちます。さらには【催眠術を用いた本人の意志に反した性交ではあるが、非現実的である】なんて意見も。

 この会合、それぞれの所属元が理由でポジショントークをしなきゃいけない人も含まれています。なので、時に意見はテンプレ化してしまうというわけです。しかし、そのテンプレ文からも「こんなん、指定候補にすんなよ」「ぜんぜん、興奮できねえ」という心の声がにじみ出ているような気がしました。
(文=昼間 たかし http://t-hiruma.jp/

今月の自主規制団体の声
【出典】東京都青少年健全育成審議会「自主規制団体からの聴き取り結果」より
http://www.seisyounen-chian.metro.tokyo.jp/seisyounen/pdf/pdf/09_singi/677/677siryou8.pdf

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