【今月の不健全図書レビュー】舞大夢『いいなり少女』物語の“犯罪性”を問題視しすぎ! 

【今月の不健全図書レビュー】舞大夢『いいなり少女』物語の犯罪性を問題視しすぎ! の画像1『いいなり少女」(ロングランドジェイ)

――東京都をはじめ、地方自治体の「青少年・治安対策本部」では、毎月“不健全図書”を挙げ、自主規制団体らと共に審議を行っている。この審議結果は毎回公表されるものの、審査過程での自主規制団体の声が顧みられることはほぼない。エロにせよ何にせよ、どこか尖った作品を大の大人が色々な立場から評価するという、そんな貴重な意見が無視されるなんてもったいない! このコーナーでは、“不健全図書”に指定されたマンガなどを自主規制団体の声と共に紹介していきたい。つまり、クラウド・ファンディング(群衆による資金調達)ならぬ“不健全図書”クラウド・レビュー(群衆による批評)、はじまり、はじまり~!

【今月の指定図書】

 11月の指定は3冊なのですが、発行元を見るとジーウォークが2冊とロングランドジェイが1冊。わかる人にはわかると思うのですが、すべて同じ会社です。そもそもロングランドジェイの単行本にもジーウォークのロゴが……隠す気はまったくありません。おまけに、うち2冊は作者が一緒だし。

 これ、指定するものもないしで、テキトーに新刊棚から3冊拾ってきたんじゃないか? なんだかなあ~という感じもするのですが、まずは、ロングランドジェイの舞大夢『いいなり少女』から検証していきましょう。

(以下、別記のない限り、【】内は「自主規制団体からの聴き取り結果」より引用)

 この作品、文芸サークルに所属するヒロインが、チャラ男な彼氏と初体験に至ったはよいけど、エロ写メを撮られていて、どんどんヒドイ目に遭っていくという物語です。指定該当7・保留4・指定非該当3と意見が別れているわけですが、指定該当を主張する人たちは、物語の犯罪性を主張します。

【人格否定の部分が多く、リベンジポルノの観点からも問題がある】【性行為写真の提供や強姦の描写があり、犯罪を誘発する】というのが理由。作中では、ヒロインがエロ写メを拡散されたりして脅迫されるわけですが、それを青少年が真似をすることを危惧しているようです。

 何より、妙に作品を読み込んでいます。

【犯罪行為が続き、逮捕されているシーンがあるものの、中には罪を逃れている者もおり、全ての犯罪行為を否定する者とはなっていないため、指定やむなし】というのが、それ。一応、東京都青少年課が指定候補を選ぶ際には、物語には踏み込まないはずなのですが、自主規制団体は、その点はあまり考えていないようです。

 当然ながら、果たしてマンガを読んで「俺もやってみよう……」と考えるヤツがホントにいるのかは疑問です。保留意見では【繰り返し性的行為の描写があり、青少年の性的感情を刺激するが、犯罪を誘発するとはいえない】【リベンジポルノやストーカーや強姦等、刑罰法規に触れる行為を描写しているが、犯罪を誘発するとまでいえるかは判断に迷う】という意見も。一方、同じく保留でも【性的な描写については修整もされているが、性的画像の撮影・流失行為は問題に感じ、判断に迷う】【絵柄には問題ないが、ストーリーに犯罪性がある。しかし、犯罪を誘発するかは判断に迷う】とする意見もある。

 つまりこの単行本ですが、絵柄は問題ないとした上で、物語の犯罪性が内容になったということでしょう。自主規制団体の発言とはいえ、物語そのものに踏み込ませ過ぎているあたり、青少年課が指定制度の趣旨や仕組みを、ちゃんと説明するのを怠っているような気がしないでもありません。まあ、最近はルーティン感が半端ない毎月の指定。誰も、まともにやる気がないのでしょうね。
(文=昼間 たかし http://t-hiruma.jp/

今月の自主規制団体の声
【出典】東京都青少年健全育成審議会「自主規制団体からの聴き取り結果」より
http://www.seisyounen-chian.metro.tokyo.jp/seisyounen/pdf/pdf/09_singi/677/677siryou8.pdf

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