【今月の不健全図書レビュー】佐野タカシ『潤んだ芽』わかりやす過ぎるエロが指定の理由か? 

――東京都をはじめ、地方自治体の「青少年・治安対策本部」では、毎月“不健全図書”を挙げ、自主規制団体らと共に審議を行っている。この審議結果は毎回公表されるものの、審査過程での自主規制団体の声が顧みられることはほぼない。エロにせよ何にせよ、どこか尖った作品を大の大人が色々な立場から評価するという、そんな貴重な意見が無視されるなんてもったいない! このコーナーでは、“不健全図書”に指定されたマンガなどを自主規制団体の声と共に紹介していきたい。つまり、クラウド・ファンディング(群衆による資金調達)ならぬ“不健全図書”クラウド・レビュー(群衆による批評)、はじまり、はじまり~!

【今月の指定図書】

 2月以来の指定となった少年画報社。今月は、リイド社も指定されているので、コミック10社会加盟社が2社も指定されたという状況です。

 その指定図書は佐野タカシ『潤んだ芽』。前回もやっぱり、同作者の『縛』第2集が指定されています。いわずと知れた、ベテランのエロ絵師である佐野ですが、東京都の担当者たちも思わず反応してしまうエロを描いているということでしょうか?

 大手出版社の一角である少年画報社としては、不健全図書指定は避けたいところ。同じく、大手出版社である双葉社の場合、エロい作品は別会社のエンジェル出版から発行という形を取っています。同様に、少年画報社にも、大都社という別会社が存在しているわけですが、少年画報社から発行するのは営業上の理由でもあるのでしょうか?

(以下、別記のない限り、【】内は「自主規制団体からの聴き取り結果」より引用)

 というわけで、この単行本ですが表紙からして官能的。そこで、自主規制団体からの意見はどうなっているかと見てみると、指定該当6、保留2、指定非該当8という結果に。

 指定該当の意見は、いつもの感じというところで【修整はされているものの、性描写が多く、指定やむなし】といった意見が並んでいます。そうした中で注目したいのは【短編集ではあるが、ストーリー性があり、性器等も修整されている。しかしながら、レイプ等の表現もあるため、成人マークを付けて販売した方が良い】というもの。

 確かに作品は、ドロドロした人妻エロスなのですが、レイプが多いか……? この人には、そのシーンが相当衝撃的だったということでしょう。

 ただ、エロシーンが多いとはいえ修正は執拗なほどキチンとなされています。指定非該当意見では、この点を取り上げ【体液描写が多いのが多少気になるが、局部が見えないように配慮して描いてある】【性器は修整されており、問題はないと思われる】と主張しています。

 筆者の私見では、作者自身が構図を考えて、意図的に結合部の描写を避けているように見えます。そもそも「消し」が丁寧というよりも、消す必要がないというわけです。

 では、それでも指定されてしまう理由というのは、指定非該当意見で述べられている【絵が上手く、表現力も優れているため、その分、卑わい感が増すが、構図的に工夫されている】が、すべてを語っています。

 わかりやすくてエロ過ぎる……それが、指定された最大の理由といえるでしょう。
(文=昼間たかし http://t-hiruma.jp/

今月の自主規制団体の声
【出典】東京都青少年健全育成審議会「自主規制団体からの聴き取り結果」より
http://www.seisyounen-chian.metro.tokyo.jp/seisyounen/pdf/pdf/09_singi/676/676siryou8.pdf

今宵、妻が。 3

今宵、妻が。 3

絵柄はかわいいけどエロい

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