■わかる人にしかわからない小ネタもしっかりと
―― 『戦国鳥獣戯画』は、この独特なタッチの画風がやはり目立ちます。
広瀬 ただの歴史物ではなく、やっぱり江戸の人々が揶揄したり、パロったりしたものっていうのを会話で見せたいなと思ったんです、シチュエーションコメディー、会話劇みたいなものを。それには画は単純なほうがいいだろうと考えました。それに、この墨絵っぽい画が動くだけでも面白いだろうなと。
―― 線は単純ですけど、その分描くのには求められるスキルが高そうです。
広瀬 演出の住田崇さんと作画のニイルセンさんのペアが、バッチリの絵を仕上げてくださってます。お2人とは、これまでも色々な作品でご一緒してきました。『実在性ミリオンアーサー』(tvk)の時です。イラストを押し出したあの番組を作る際、「うってつけの人物がいる」と、住田さんから最初にニイルセンさんを紹介されたんです。ニイルセンさんは“傭兵美術”と名乗られている通り、TVのバラエティや、ドラマ、舞台のステージ演出で使われるイラストやアニメーション原画など、幅広いイラストを描かれています。リクエストに応えて、「○○風のイラスト」を描くのがすごく上手なので、墨絵風のイラストも描いてみてもらったらやっぱり上手なんですよね。そこから住田さんとも、線の太さや、色の濃さなどは検討して、今の作風に至りました。
―― 作画は大変そうですよね。1話目は割と動いてましたけど2話目は……
広瀬 カメラワークの妙で(笑)。基本的には、キーになるキャラ設定画と背景をニイルセンさんが描き、その後、差分をアニメメーターに担当してもらうというイメージです。フラッシュアニメと感覚は近いんですけど、本当にもう4~5人とかで作っていますね。
―― TVアニメの黎明期みたいですね(笑)。
広瀬 まあ尺が3分弱だから成り立っている部分はあると思います。作画兼動画というか、何でもできる人を揃えて、どうにか回しているという感じです。
―― ある意味ショートアニメだからこその力業ですよね。
広瀬 そうですね。ただ、内容的にもやっぱり出オチじゃないですけど、企画自体のインパクトが強いので、長尺だと視聴者が飽きてしまうのでは、という心配もあります(笑)。もうちょっと続きが見たかったな、来週が楽しみだなという感じで終わっていく、気楽に見られるくらいが、本作にはちょうどいいなと思っています。
―― 単純に、来週はどの有名武将が出てきて、その武将はどんな動物として描かれているか? という部分も、『戦国鳥獣戯画』の楽しみなところです。
広瀬 有名な合戦や、名言だけでなく、歴史が好きな人にはわかるネタというか、小ネタは結構本気で調べていて、歴史監修で現役の大学の先生方にもご相談しながら、探っています。
―― いわゆる時代考証の先生ですね。
広瀬 第1話で言うと河童姿で登場したオルガンティノという宣教師が、信長の横でおにぎりを食べてたんですけど、彼なんかはもともとは当然パン食なんですけど、日本に来て、結構白米を好んでお米を食べていたので、日本人とも親しかったというエピソードがあったので、おにぎりを食べさせていたり。そういう細かいネタを必ず入れるというのはコンセプトとしてやってます。第2話だと、七本槍の福島正則がよく酒を飲んで暴れたというエピソードを挿入しています。当時の人、江戸時代の人からしてもそういったエピソードは面白かったはずですから、いじるだろうなと。
―― 歴史的によく知られたエピソードをしっかり入れ込むというのは、現在『真田丸』が人気あるというのとも共通している気がします。
広瀬 知っている人には「あーわかってるわかってる」ってうなずいてもらえるし、知らない人にはそれで覚えてもらっても面白いと思います。逆に秀吉が草履を温めていたなんていう話は有名じゃないですか。その辺は今更やらなくてもいいだろうと、今はあえて拾わないことにしているんですが、アレンジするアイディアも検討していたりします。
信長はホトトギス、秀吉はサル、もちろん家康はタヌキ……戦国をおもしろく遊ぶ個性派アニメ『戦国鳥獣戯画』インタビュー!のページです。おたぽるは、インタビュー、アニメ、話題・騒動、闇芝居、インタビュー、林原めぐみ、AbemaTV、中村橋之助、戦国鳥獣戯画、ILCA、ニイルセン、住田崇、実在性ミリオンアーサーの最新ニュースをファンにいち早くお届けします。オタクに“なるほど”面白いおたぽる!
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