アメコミ「実写化不可能」奇譚vol.2

アメリカ発! “麻薬中毒ヒーロー”に見る、シャブとの上手な付き合い方『セントリー』

 2つ目の実写化できない理由は「キャラクターの本質」。このキャラクターの強さの裏にあるものが、今の日本ではどうしようもないのだ。

 太陽100万個の爆発に等しいパワーをもつ最強ヒーローの彼だが、重大な欠点「ヴォイド」がある。心の奥に潜んでいるセントリーの暗黒面であり、一度ヴォイドが表に出ると、一気に地球規模の大ピンチに陥るほど。

 暗黒面は『スターウォーズ』シリーズでも描かれていたが、問題なのはその暗黒面を抑える方法。実はセントリー、強い能力をもつヒーローだが、メンタルが最強クラスに弱い。そのため自分の暗黒面を抑えるために使っているのが薬物、つまりシャブ漬けのヒーローなのだ。

『スパイダーマン』にグリーンゴブリンとして出てくるノーマン・オズボーンが組織した悪役チームにも入っており、懐刀として活躍していたのも「薬物の提供」によるところが大きい。オズボーンは薬と言葉でセントリーを洗脳して味方にしていた。

 薬がないと暗黒面が出てしまうので、常に薬を求め続けるシャブ漬けヒーローを誰が今の日本で扱えるのか?

 セントリーの物語を簡単にいうと、“シャブ漬けスーパーヒーロー。ヤク切れで大暴れ”なんて、堕ちていく某超有名元プロ野球選手の話じゃないんだからと言われてしまうようなストーリー。これが映画化されて、いざ日本公開となったところで今の日本でこの部分がうまく扱えるのか? 無理だろう。

 最後の問題は「強すぎる問題」。あまりにも強すぎるキャラクターの登場は、マーベル作品全体を揺るがしかねない。めちゃくちゃ強すぎるのが手を貸しにやって来たら、他のヒーローの仕事がなくなってしまう。

 ファンキーなヒーローである『デッドプール』は不死身の肉体をもつが、私利私欲で動く性格が完璧なヒーローにさせないでいる。その点、セントリーはいたって正義の使者。だからこそ「空気が読めない強さ」というのは大きな欠点だ。

 実写化したら、いろいろと面倒くさいことになりそうな「セントリー」。某超有名元プロ野球選手に、真っ先に見ていただきたいと無責任にも思うが、まず実写化は不可能であろう。

 マーベルの中でも癖の強い「最弱の精神をもつ最強のヒーロー」というキャラクターと覚えておいてほしい。こういった癖の強度がアメコミを面白くさせてくれている。

 初登場した「ニューアベンジャーズ:ブレイクアウト」や、「ニューアベンジャーズ:セントリー」なども翻訳(共にヴィレッジブックス)されているので、どんなキャラなのか、ぜひ読んで確かめてみよう。「ワールド・ウォー・ハルク」(同)ではバトルシーンもあるので強さをみたいならこちら。ぜひ薬漬け最強ヒーロー「セントリー」を一度手にしてほしい。
(文=大野なおと)

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