『NARUTO』の源流は真田十勇士・猿飛佐助にあり!? 三重大学の研究で“忍者もの”の起源が明らかに!

 以上が、我々がイメージする忍者像の登場の背景だそうだ。吉丸先生にうかがったところ、その研究の最大の成果は、黒装束や手裏剣の起源、『猿飛佐助』による忍者像の転換、そして、今回の講演では触れなかったが、くノ一の創作過程の3つだという。最後に“忍者の楽しみ方”について吉丸先生に質問してみた。

「忍者は、何でもありだということです。忍者になることで、自分の実現したいことを叶えるわけです。例えば、くノ一は司馬遼太郎の『梟の城』だと、ボンドガールのように、男の添え物なんですよ。男性ほど活躍しないし、冷徹になれない。そこが魅力だったりもするのですが。ところが、今のくノ一が登場する作品は、ガーリッシュ・ファンタジーで、女の子がすごく伸び伸びと活躍します。それは、女の子自身が脇役ではなく、自分が主役になって活躍したいという願望があるからで、それをくノ一なら受け止められる存在なのだと、忍者を見ていて感じられるんですよね。だから、忍者を通じてこういうのを実現したいというのがあれば、それをどんどんぶつけていけばよいと思います。『NARUTO -ナルト-』も全員が忍者衣裳を着ているわけではなく、多くの人が現代風の格好ですよね。『これが忍者だ』というのを示せば、忍者はそれを受け止めてくれる。忍者とは、そういう存在だと思います」(吉丸先生)

■吉丸先生がおすすめする“絶対に手に取って欲しい忍者もの”ベスト3

1609_ninjya_10.jpg吉丸雄哉先生と“絶対に手に取ってほしい忍者もの”3作。

 忍者に興味を持ったきっかけは、横山光輝の『伊賀の影丸』だったという吉丸先生。「使う忍術も派手で、『忍者ってカッコいいな』と思いました。」と話す吉丸先生に、おすすめの“忍者もの”を教えてもらった。

和田竜『忍びの国』
吉丸:今度、映画にもなるので、ぜひ読んでいただきたいですね。和田先生はエンターテイメントの部分も押さえていますが、資料もしっかりしていて、リアル系で書かれています。歴史小説はフィクションになりますが、なるべくフィクションにならないように書いているところがよいところです。どのあたりがそうかというと、精神的な面です。歴史小説は、現代人の倫理や理想で書かれていることが多いのですが、和田先生の作品では、戦国時代の人はこういう考え方だったんだろうな、というのがよく伝わってきます。忍びだったらどんなことを考えるのかというのが、とてもリアルな感じに書かれてあるのが、骨太で良いんですよね。

荒山徹『魔風海峡』
吉丸:荒山先生は、わりと山田風太郎の「忍法帖シリーズ」のように魔法的な小説を書いていて、本当に奇想天外な人間の想像力を楽しめるところが、非常に面白いです。特に忍術ですよね。特撮番組の『仮面の忍者 赤影』みたいに、ロボットや怪獣が出てくる、そうした派手な感じと同じようにいろいろな、あっと驚く忍術が荒山先生の作品では出てくるんですよ。「忍びのモノグラム」という短編では、紋様柄の忍装束を着たくノ一が、「美遁(ういとん)ノ術」というのを使って、相手を倒すというのがありました。これは“やられたな”と思いましたね。それ以外にも、荒山先生の作品には、不思議な魔法的なものが出てきます。その中で、今年は大河ドラマで真田家を取り上げているので、荒山先生の作品では“真田もの”の『魔風海峡』をおすすめします。

『忍道2 散華』(スパイク・チュンソフト)
吉丸:アクワイアというゲーム会社が制作して、スパイク・チュンソフトが販売している忍者ステルスアクションゲームです。ゲームの良いところは、自分が忍者になれるところで、忍んで隠れて、敵をやり過ごしたり、忍術を使って一撃で相手を倒したりできるのが、良いですね。もともと、アクワイアで『天誅』シリーズという忍者ゲームを作っていて、それが日本よりもヨーロッパでよく売れていました。三重大学にきたドイツから来た留学生に、自国に伝わる忍者的なものを紹介してもらう際、『天誅』シリーズを「これこそ忍者だ」と紹介していた生徒がいたので、その影響力は強いと思います。だから、忍者ゲームはいろいろありますが、『天誅』シリーズ、『忍道』シリーズは欠かせないですね。『忍道2 散華』は2011年発売で、それ以降新作は出ていませんが、非常に“忍んでいく”という忍者感が出ているよいゲームなので、遊んでいない方は、ぜひ遊んでいただきたいです。将来は、忍者ゲームについてもまとめようと思っています。
(取材・文/桜井飛鳥)

■企画展「The NINJA -忍者ってナンジャ!?-」

1609_ninjya_06.jpg忍者の修行を体験できるのも、この企画展の魅力。1609_ninjya_09.jpg企画展オリジナルの「手裏剣クッション」は大人気のお土産!

会期:2016年7月2日(土)~10月10日(月・祝)
開館時間:10:00~17:00
会場:日本科学未来館[東京・お台場] 1階 企画展示ゾーン
問い合わせ:TEL 03-3570-9151(日本科学未来館)
巡回情報:2016年10月25日〈火〉–2017年1月9日〈月・祝〉 三重県総合博物館

公式サイト:http://ninjaten.com

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