■童心を大事にして、ワクワクする映画を作っていきたい
――ここからは過去の白石作品を踏まえた質問をさせてください。後半から胡散くさい霊能者・経蔵(安藤政信)が登場しますが、これは監督の『カルト』に共通するものがあります。『カルト』も後半「ネオ」というチャラい霊能者が出てきますよね。
白石 経蔵も私が参加する前のプロットに、既にアイデアとしてありました。「男性の霊能者」っていう風に。彼がハリウッド映画っぽく霊能力を使って、ファンタジー路線で活躍する風に書かれていたんです。そこにネオに通じるものを感じたので、結果的に近いものになったという流れですかね。
――霊能者だとか、あと除霊、お祓いといったオカルト的なことがお好きなんですか?
白石 昔の心霊番組で観た記憶が脚本書いてる時に出てくるんじゃないかと思います。あと、除霊やお祓いって、一箇所で場面を盛り上げることができるんですよね。緊張感さえあればシーンを持続させることができる。映画の撮影ってシーンが多くなればなるほど移動時間とお金がかかりますよね。まあ私みたいに低予算でばかりやってる者人間は「1シーンを長く面白く見せて」、「移動、撮る場所を少なめにして」、「密度を高める」っていうやり方で脚本を書いて撮影するんです。お祓いのシーンっていうのはその最たるものです。
――なるほど、効率化というかコスパというか。
白石 ちなみに最初に書いた脚本では、佐渡川さんがお祓いを受けていたぶられる様がもっと長かったんですよ。悪霊にやられる前に死ぬんじゃないかってくらい苦しみまくってて。それで山本さんが止めに入ってビンタされるって流れだったんですけどね。そしたら「長すぎる」と指摘されまして(笑)。「幽霊関係ないですよね」って(笑)
──長く面白く密度を高めすぎたわけですね(笑)。本作について、監督は各所で「子どもに見て欲しい」と発言されていますが、この点を詳しく教えていただけますか?
白石 自分はワクワクする映画を作っています。童心を大事にして、童心に戻って作っているんです。仲間である子ども、特に小中学生に向けて作ってると言いますか、実は子ども以外に向けて作っていないというか。子どももしくは「子ども心をもっている大人」。あるいは「大人の中にある子ども心」に向けて撮っていますね。知性理屈をこねくりまわしたような、小難しい映画は作りたくないんですよ。単純に面白いとか、「ウワーッ」て気持ちになって、それプラス見た後に心に残るものがある、そういう映画を作っているんです。子どもが見て楽しいって映画にとってすごく大事なことだと思ってて、そこは忘れちゃいけないと考えています。
――一方で『ノロイ』『口裂け女』そして本作と、子どもが痛い目に遭ったり、傷付いたりするシーンを臆せず描いてらっしゃいますよね。子供の観客を意識しつつ、劇中で子供を傷つ付けるのはどうしてでしょう?
白石 子ども相手に幼稚なものを見せるわけにはいきませんから。自分が小学生の時でも、例えば『デビルマン』とか初期の『必殺』シリーズなど暴力的で残酷な作品を楽しんでいました。子どもだからって幼稚なものを見せるのは、子どもを馬鹿にしてるのと一緒だと思います。「子どもがヒドい目に遭う」なんて普通にある。そこに嘘は吐きたくないんです。
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