「より一層芳醇な、グロ描写を考えていたんですよ」『コープスパーティー Book of Shadows』原作者・祁答院慎の素顔に迫る

 9月10日から、グロテスクシーンが追加されたアンリミテッド版が公開され、ますます盛り上がりを見せるホラー映画『コープスパーティー Book of Shadows』。今回、その脚本へのこだわりについて、原作者である祁答院慎を取材。その素顔を明かすべく、ファンなら気になっている、“あのこと”にも触れてみた。
【注:本記事には、作中のネタバレを含みます。ご注意ください。】

1619_kedwin_01.jpg祁答院慎に迫る!

■青木さんを見た瞬間「刻命君だ!」と思った

――今回の『コープスパーティー Book of Shadows』は、青木玄徳さんが演じた刻命裕也の怖さがよく出ていますが、どのようなテーマで作られたのでしょうか?

祁答院慎(以下、祁答院) 前作が『コープスパーティー ブラッドカバー リピーティッドフィアー』(以下、BRF)の実写映画化だったので、あのラストから直につながるものを考えようと思ったとき、ゲームの続きである『コープスパーティー Book of Shadows』(以下、BS)を実写化すると一番きれいにつながるのかなというところから、制作が始まりました。そして、前回、描ききれなかったキャラクターがたくさんいた中に刻命君がいて、僕も大好きですし、ファンの方々の人気も高いキャラクターなので、企画当初から今回は彼をぜひ出そうという話になっていたんです。役者が青木玄徳さんに決まって、写真を見せてもらったとき、「うわァ刻命君だ!」と驚きが口をついて出ていました。キャラクターが三次元になったときにそのイメージはどうなるか、という不安はつきものですが、青木さんのクールでバッキバキにキマった写真を拝見した瞬間、そんな心配なんて消え去ったものです。

――刻命裕也を映画で描くうえで、どのようなこだわりがありましたか?

祁答院 やはり人気のキャラクターでもあるので、“彼を描くならお約束”のシチュエーションや台詞を、実写でも違和感なく盛り込めるようにと働きかけました。なかでも、これは大きなネタバレになるのですが……原作で刻命はサチコに面白半分に改造されて、人体模型にされるんです。憐れな彼の成れの果て、これは絶対に外せないと思っていました。今回、ちょっと違うアプローチですが、それを踏襲した運命が彼を待っています。

――私も拝見したとき、「人体模型キター!」と思いましたよ。

祁答院 そうなんですよ。“半分が人体模型風”という感じですよね。脚本をチェックさせていただいた時、上手くアレンジしてくださったな、とうれしく思いました。あと、刻命といえば、肩掛けジャケットですかね。今日、そんなことする男子高校生がいるのかとは思いますがこれも刻命君のアイコンのひとつです。ただここにも、どうせやるならギミックに取り入れたいという思いがありました。映画ではほとんどジャケットに袖を通しているのですが、ハイライトシーンで、シュッと脱いで肩にかけたとき、袖に付いた血が明らかになるんですよ。

――こだわりが生かされたシーンですね。今回の脚本は、難産だったそうですが、脚本全体として苦労された点はどのようなところでしょうか?

祁答院 原作の『BS』は、主人公たちが何度もループを繰り返して、多様なバッドエンドが待ち受けるいろいろなルートを模索してみるというゲームだったのですが、そこをタイムリープものとして生かせないかと提案しました。何度もやり直させられる残酷な運命、一人の登場人物でも何度も死亡シーンがあるというホラー的には美味しい案を推していたのですが、映画としてみたとき、何度も繰り返すと尺の関係もありますし、混乱してくるだろうということで、直美たちに科せられた運命のやり直しは1度だけ、ということになりました。

――先生がやりたかったシーンはありますか?

祁答院 こだわった中で、入れられなかったシーンとしては、刻命と持田由香ちゃんの絡みですね。「由香ちゃん、これじゃあ、おトイレ行けないね」と言う刻命君、見たいじゃないですか(笑)。刻命が一線を越えそうな時、由香の優しさから踏みとどまれそうになったり、また闇に落ちてしまうきっかけもそこに置いてみたりと、この映画にしか描かれない未来の可能性を、シナリオで提案したりもしましたね。他には、前回の映画を撮った後に、中嶋直美役の生駒里奈さんが「もっと血まみれにしてほしい」とおっしゃっていたので、その熱意と愛情にお応えしたくて、またお話をつくる側としてはその想像を超えてゆく意味でも、いろいろ策を練っていたんです。ホラークイーンとして美味しい血まみれのシーンはもちろん、お腹をバサッと斧で切られ、こぼれ出ようとする内臓を押さえながら果敢に戦う友情熱いシーンとか。ほかにも監督の構想されていた強烈なシーンもあったりして、現バージョンでは入れきれなかった、より一層芳醇なグロテスクな描写も考えていたのですよ。案はたくさんありますので、次回作があれば、懲りずに提案しまくると思います(笑)。

――グロテスクといえば、アンリミテッド版は先生の意向が反映されたシーンが多いということですが、見どころはどのシーンですか?

祁答院 良い追加シーンがたくさんあるのですが、なかでも石森虹花さんが演じている篠崎あゆみ(演・前田希美)のお姉さん、篠崎ひのえが刻命の餌食になるシーンが印象深いですね。ノーマルバージョンだと、ひのえが姉妹愛を見せてカットが切り替わるのですが、アンリミテッド版だと、その後、さらに追い打ち描写が入るんですよ。ドラマのように簡単に命をオフには出来ない、大怪我をしても人は簡単に死ねない。原作でアンチテーゼ的に持たせている“死という到着点に向かう行為”の本当の恐ろしさを、要素として少し表せたシーンだと思っています。

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